家を買うときのお金の全体像
最終更新: 2026年8月9日
住宅購入は人生でいちばん大きな買い物ですが、 物件価格だけを見て判断すると入居後に苦しくなります。
必要なお金は「予算の決め方」「借り方」「諸費用」「入居後の費用」「税金の手続き」の 5段階に分かれます。順に整理していきます。
1. 予算を決める(ここでほぼ決まります)
物件を見に行く前に、いくらまでなら無理がないかを決めておいてください。 先に物件を好きになると、予算のほうを後から引き上げてしまいます。
注意すべきは、銀行が貸してくれる額と、無理なく返せる額は別だということです。
| 返済負担率 | 意味 | |
|---|---|---|
| 銀行の上限 | 35% | 返済が破綻しないぎりぎりの線。余裕があるという意味ではありません |
| 標準 | 25% | 教育費が重なる時期も回る水準 |
| ゆとり | 20% | 金利上昇や収入減にも耐えられる |
しかもこれは額面年収に対する割合です。年収600万円で上限まで借りると、 手取りの4割近くが住居費に消えます。
2. ローンの借り方を決める
借入額が決まったら、次は金利のタイプと借りる銀行です。 どちらも総返済額を数百万円単位で動かします。
変動か固定か
「どちらが得か」は将来の金利次第なので事前には決まりません。 判断できるのは「何%上がったら逆転するか」という分岐点と、 そこまで上がったときに払えるかという点だけです。
変動金利には「5年間は返済額を据え置く」「見直しは1.25倍まで」というルールが 付いていることが多く、返済額は急に増えません。ただし 利息は増えているため元金が減りにくくなり、総返済額はむしろ増えます。 この仕組みは知っておく必要があります。
どの銀行で借りるか
同じ借入額でも、金利が0.1%違えば総返済額は数十万円変わります。 さらに事務手数料が「定率型(借入額の2.2%)」か「定額型(数万円)」かでも 数十万円の差が出ます。金利だけで比べないでください。
3. 諸費用を現金で用意する
物件価格のほかに6〜9%の諸費用がかかります。 新築マンションで4〜6%、中古住宅は仲介手数料がかかるぶん7〜9%が目安です。
- 仲介手数料(中古):物件価格の3% + 6万円 + 消費税
- 登記費用:登録免許税+司法書士報酬
- 住宅ローンの事務手数料・保証料
- 印紙税:売買契約書とローン契約書の両方に必要
- 火災保険料・地震保険料
- 不動産取得税:入居後しばらくしてから通知が来ます
諸費用をローンに含められる銀行もありますが、 その分借入額が増えて利息も増えます。 頭金とは別に現金を用意しておくのが基本です。
4. 省エネ性能で優遇が変わる
2024年以降に建築確認を受けた新築住宅は、 省エネ基準を満たしていないと住宅ローン控除の対象外になりました。 さらに性能のランクによって借入限度額が変わります。
| 性能 | 借入限度額 |
|---|---|
| 認定長期優良住宅・低炭素住宅 | 4,500万円 |
| ZEH水準省エネ住宅 | 3,500万円 |
| 省エネ基準適合住宅 | 3,000万円 |
| その他(証明なし) | 対象外 |
控除率は年末残高の0.7%で13年間続くため、 性能の差は数十万円から百万円単位の差になります。 証明書は引き渡し前に売主・施工会社へ確認してください。
5. 入居後にかかり続けるお金
ここが見落とされがちです。ローンの返済以外に、毎年これだけかかります。
| 費目 | マンション | 戸建て |
|---|---|---|
| 固定資産税・都市計画税 | 年8〜12万円 | 年10〜15万円 |
| 管理費・修繕積立金 | 月2〜3万円 (築年数とともに上がる) | — |
| 修繕費 | 積立金に含む | 10〜15年ごとに100万円以上 (外壁・屋根) |
| 駐車場 | 月0.5〜3万円 | 敷地内なら不要 |
マンションは管理費・修繕積立金で月2〜3万円が固定でかかります。 これはローン返済に上乗せされる額なので、予算を決める段階で織り込んでください。 戸建ては月々の負担は小さいものの、修繕費を自分で積み立てておく必要があります。
6. 入居した翌年の確定申告
会社員でも初年度だけは確定申告が必要です。 これを忘れると住宅ローン控除を1円も受けられません。
借入3,000万円なら初年度で20万円前後が戻る計算なので、 手続きの手間に対して見返りは非常に大きくなります。 2年目以降は年末調整で済みます。
物件種別ごとの進め方
買う物件のタイプによって、流れも注意点も変わります。 それぞれ別の記事にまとめています。
買ったあとに考えること
- 繰り上げ返済:早い時期ほど利息の削減効果が大きくなります
- 借り換え:金利差が大きければ検討の価値があります。 ただし諸費用が数十万円かかるので、実質メリットで判断してください
- 売却:住み替えや転勤のとき。所有5年以下だと譲渡所得の税率が倍になります
本記事は一般的な説明であり、個別の判断ではありません。住宅ローン控除の要件・税率・費用の相場は制度改正や地域によって変わります。実際の購入にあたっては、金融機関・不動産会社・税務署などでご確認ください。運営者は宅地建物取引士・税理士等の有資格者ではありません。