「扶養の壁」とは
パートやアルバイトで働くとき、年収がある金額を超えると税金や社会保険の負担が増えます。 この境目が「壁」と呼ばれます。壁は1つではなく、税金の壁と 社会保険の壁がいくつもあります。
税金の壁
- 約119万円:住民税がかかり始めます(令和8年中の給与。名古屋市などの例で、均等割の基準は自治体により異なります)。
- 136万円:配偶者側が受ける「配偶者控除」(38万円)の対象になる上限で、扶養に入れる所得の上限でもあります。従来「103万円の壁」と呼ばれていたラインが、令和7年分で123万円、令和8年分の改正でここまで上がりました。
- 178万円:本人に所得税がかかり始めます(給与所得控除74万円+基礎控除104万円の合計)。令和7年分は160万円でした。
- 169万円:配偶者側が受ける「配偶者特別控除」が満額(38万円)から減り始めます。
- 207万円:配偶者特別控除がなくなります。
税金の壁は、超えても増えた年収の一部に税金がかかるだけなので、手取りが逆転して 減ることはありません。恐れずに働けるラインです。 令和8年分の控除や扶養の上限は、12月の年末調整で反映されます(11月までの天引きは改正前のまま)。
社会保険の壁(ここが大きい)
- 106万円:従業員数が一定以上の勤務先で、週20時間以上などの条件を満たすと社会保険に加入。
- 130万円:上記に当てはまらない場合、これを超えると配偶者の扶養から外れて自分で社会保険に加入します。
社会保険の壁は影響が大きく、超えると年収の約15%が社会保険料として引かれます。 そのため壁を超えた直後は、年収が増えたのに手取りが減る「働き損」が起きます。 上のシミュレーターで、壁の前後の手取りを見比べてみてください。
働き損は「超え方」で避けられる
130万円の壁を超えるなら、中途半端に超えず、しっかり働くのが基本です。 社会保険料を払っても手取りが元に戻るのは、目安として年収156万円あたり。 それ以上働けるなら、社会保険料を払うぶん将来の年金が増え、傷病手当金なども受けられるため、 むしろメリットが大きくなります。
「扶養内に抑える」か「しっかり働く」か。中間の年収帯がいちばん損をしやすいので、 どちらかに寄せて考えるのがコツです。世帯全体の手取りは、配偶者側の 手取り計算機とあわせて考えるとよいでしょう。
あわせて使いたい
働き方と手取りの考え方はパート・共働きの働き方と手取りに まとめています。時給から年収の換算は時給・月給・年収 換算、 残業代は残業代計算機、有給日数は 有給休暇 付与日数で確認できます。
よくある質問
103万円の壁はなくなったのですか?
令和7年分の税制改正で2つに分かれ、令和8年分の改正でさらに引き上げられました。令和8年分は、 配偶者控除を受けられる・扶養に入れる上限が136万円 (合計所得金額62万円+給与所得控除74万円)、本人に所得税がかかり始めるのが178万円 (基礎控除104万円+給与所得控除74万円)です。「103万円」という1つの数字ではなくなったため、 どちらの話をしているのかを分けて考える必要があります。給与所得控除と基礎控除の上乗せは令和8・9年分だけの特例で、 令和10年分からは金額が変わる予定です。
学生の場合は違いますか?
学生には勤労学生控除があり、令和8年分は給与収入163万円以下が対象です。19〜22歳の子は「特定親族」として、 給与収入136万円までは親が扶養控除(63万円)を受けられ、136万円を超えても197万円までは 「特定親族特別控除」で親の控除が段階的に残ります。社会保険の扶養(130万円など)は別の基準なので、家族全体で確認しましょう。