借り換えは「金利が下がるか」では決まらない
借り換えの記事の多くは金利差の話ばかりですが、実際に得かどうかを決めるのは 減る利息と、かかる諸費用の差です。借り換えには必ず数十万円の費用がかかり、 これを回収できなければ、金利が下がっても損をします。
このツールは、その費用を自動で見積もったうえで 「実質いくら手元に残るか」を1つの金額で出します。判断に必要なのはその1つの数字です。
かかる諸費用の内訳
| 項目 | 目安 | 払う先 |
|---|---|---|
| 事務手数料 | 借入額の2.2%(定額型なら3〜5万円) | 新しい銀行 |
| 登録免許税 | 借入額の0.4% | 国(抵当権の設定・抹消) |
| 司法書士報酬 | 7〜10万円 | 司法書士 |
| 印紙税 | 2万円(借入1,000万〜5,000万円) | 国 |
| 全額繰上返済手数料 | 0〜3.3万円 | 今の銀行 |
借入額2,500万円なら合計で70万円前後が目安です。 なお、事務手数料が「定率型(2.2%)」か「定額型(数万円)」かで数十万円の差が出るため、 比較するときは金利だけでなく手数料の方式も必ず確認してください。 上のツールでは手数料の率を0にすれば定額型として試算できます。
「金利差1%以上」を鵜呑みにしない
よく言われる「金利差1%以上・残高1,000万円以上・残期間10年以上」は、 2000年代の金利水準でできた古い目安です。低金利が続いた結果、 そもそも1%の金利差が生まれにくくなっています。
- 残高が大きく期間が長ければ、金利差0.3〜0.5%でも諸費用を回収できます。 利息は「残高 × 金利 × 期間」で効くためです。
- 残り5年・残高500万円のような状況では、金利差が1%あっても 減る利息が20万円程度にとどまり、諸費用に負けます。
3条件は参考程度にとどめ、実額で判断するのが確実です。
期間を延ばすと「毎月」は軽くなるが総額は増える
借り換えのときに返済期間を延ばすと毎月の返済額は下がりますが、 利息を払う期間が延びるため総返済額は増えることがあります。 家計が苦しくて毎月を下げたいのか、総額を減らしたいのかで、選ぶべき条件が変わります。 上のツールは返済期間を変えて試せるので、両方の数字を見比べてください。
なお、手元の資金でローンを減らしたい場合は借り換えではなく繰り上げ返済です。 効果は繰り上げ返済シミュレーターで計算できます。 金利が高いまま繰り上げ返済するより、先に借り換えて金利を下げてから 繰り上げ返済したほうが効率が良くなります。
借り換えの流れ
- 今の条件を確認する:残高・金利・残り期間は返済予定表か銀行アプリで分かります。
- 複数の銀行を比較する:金利だけでなく事務手数料の方式と団信の保障内容も見ます。
- 事前審査を申し込む:複数行に出して構いません。1〜2週間で結果が出ます。
- 本審査・契約:源泉徴収票、登記事項証明書、返済予定表などを提出します。
- 実行・抵当権の付け替え:新しい銀行が今の銀行に一括返済し、抵当権を移します。
申し込みから実行まで1〜2ヶ月かかるのが一般的です。 なお、借り換えをしても住宅ローン控除は引き続き受けられますが、 借り換え後の年末残高証明書で申告する必要があります。控除期間そのものは延びません。
注意しておきたいこと
- 審査に落ちることがあります。借り換えも新規と同じ審査です。 収入の減少、転職直後、他の借入の増加、健康状態などが理由になります。
- 変動金利は将来変わります。低い変動金利に借り換えても、 金利が上がれば返済額は増えます。試算はあくまで「今の金利が続いた場合」です。
- 団信の保障が変わることがあります。今のローンにがん保障などが付いている場合、 借り換え先で同じ保障が付くとは限りません。金利だけで比べないでください。
- ペアローンや連帯債務は手続きが複雑です。持分や名義の扱いで 贈与税が問題になることがあります。詳しくは贈与税シミュレーターもご確認ください。
よくある質問
今の銀行で金利を下げてもらうことはできますか?
「金利引き下げ交渉」として応じてもらえる場合があります。他行の事前審査の結果を持って 相談すると話が進みやすく、諸費用がかからないぶん有利です。借り換えを検討するなら、 同時に今の銀行にも相談してみる価値があります。
借り換えの費用はローンに含められますか?
多くの銀行で、諸費用を借入額に含められます(諸費用ローン)。手元の現金は不要になりますが、 借入額が増えるぶん利息も増えます。上のツールの実質メリットは、諸費用を 現金で払う前提で計算しています。
変動から固定に借り換えるのはどうですか?
毎月の返済額は上がることが多いですが、将来の金利上昇のリスクをなくせます。 「総額でいくら損か」ではなく「上がっても払い続けられるか」で判断する話なので、 当面の家計に余裕があるかを手取り計算機で確認してから決めてください。