親が亡くなったときのお金と手続き

最終更新: 2026年8月9日

相続の手続きは種類が多く、しかも期限がバラバラです。 落ち着かない時期に全部を把握するのは難しいので、 期限の早い順に並べて整理しました。

まず知っておくこと

いちばん急ぐのは相続放棄の3か月です。 借金や連帯保証が残っている可能性があるなら、この期限だけは先に押さえてください。 3か月を過ぎると原則として借金も引き継いだことになります

期限の一覧

期限 手続き 窓口
7日以内 死亡届 市区町村
3か月以内 相続放棄・限定承認 家庭裁判所
4か月以内 準確定申告(亡くなった方の所得税) 税務署
10か月以内 相続税の申告・納付 税務署
1年以内 遺留分侵害額請求 相手方・裁判所
3年以内 相続登記(2024年から義務化) 法務局

期限のないものもありますが、放置すると次の相続が発生して関係者が増え、 話がまとまらなくなります。できるうちに進めるのが結果的に楽です。

1. 相続税がかかるか調べる

まず確認すべきはそもそも相続税がかかるのかです。 基礎控除は次の式で計算します。

3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

相続人が配偶者と子2人の3人なら4,800万円まで相続税はかかりません。 遺産がこれ以下なら申告も不要です。 実際に相続税の申告が必要になるのは、亡くなった方のおよそ1割程度とされています。

注意点として、配偶者は1億6,000万円まで非課税という強力な軽減がありますが、 これを使って配偶者に寄せすぎると、次にその配偶者が亡くなったとき (二次相続)に子の負担が重くなることがあります。

2. 遺産を洗い出す

財産だけでなく借金も相続の対象です。両方を調べてください。

  • 預貯金:通帳・キャッシュカード。残高証明書は銀行で取れます
  • 不動産:固定資産税の納税通知書、登記事項証明書
  • 株式・投資信託:証券会社からの取引報告書
  • 生命保険:受取人が指定されていれば相続財産とは別扱いですが、相続税の課税対象にはなります
  • 借金・ローン:信用情報機関に照会できます
  • 連帯保証:見つけにくいので、書類をよく確認してください

郵便物と通帳の入出金履歴を見ると、契約している金融機関やサービスが分かります。 デジタル関係(ネット銀行・ネット証券・サブスク)は紙が残らないので見落としやすい部分です。

3. 実家をどうするか

相続でいちばん悩むのがここです。選択肢は住む・貸す・売るの3つですが、 決めずに空き家のまま置いておくのが最も損になりやすい選択です。

選択 かかり続けるお金 注意点
住む 固定資産税・修繕費 小規模宅地等の特例で評価額が下がる場合があります
貸す 固定資産税・修繕費・管理費 賃貸に出すには修繕が必要なことが多い
売る 相続空き家の3,000万円特別控除が使える場合があります
空き家のまま 固定資産税・管理の手間 管理不全と判断されると固定資産税が最大6倍

空き家を放置すると、住宅用地の特例(固定資産税が1/6になる)から除外されることがあります。 「とりあえず持っておく」がいちばんコストの高い選択になりうる、という点は 知っておいてください。

4. 準確定申告を忘れない

亡くなった方に収入があった場合、4か月以内に相続人が代わりに 確定申告をします(準確定申告)。次のようなケースで必要です。

  • 年金収入が400万円を超えていた
  • 不動産収入や事業収入があった
  • 医療費控除などで還付を受けられる
  • 給与を2か所以上から受けていた

医療費が多くかかっていた場合は還付を受けられることがあります。 期限内に手続きすれば戻ってくるお金なので、領収書は残しておいてください。

5. 専門家に相談すべき境目

当サイトは計算ツールを提供する立場であり、個別の相続について助言はできません。 次のどれかに当てはまる場合は、早い段階で専門家に相談することを強くおすすめします。

状況 相談先
遺産が基礎控除を超えそう税理士(相続に強い事務所)
借金がありそう/連帯保証が心配弁護士(3か月以内に)
相続人の間で話がまとまらない弁護士
不動産の名義変更司法書士
非上場株式・事業を引き継ぐ税理士

相続税の計算は、土地の評価方法や小規模宅地等の特例など 専門家でも判断が分かれる論点が多い分野です。 金額が大きいほど、相談料を払う価値があります。

6. 自分の相続に備える側になったら

親の相続を経験すると、次は自分が備える立場になります。 生前にできることとして、次のようなものがあります。

  • 暦年贈与:年110万円までは贈与税がかかりません。 ただし相続開始前の一定期間の贈与は相続財産に加算されます
  • 相続時精算課税:累計2,500万円まで贈与税がかからない代わりに、 相続時に精算します。年110万円の基礎控除も別に使えます
  • 財産の一覧を作っておく:残された家族が探す手間が大きく減ります
  • 遺言書:法務局で保管する制度を使うと、 家庭裁判所の検認が不要になります

本記事は一般的な制度の説明であり、個別の相続に関する助言ではありません。相続税の計算は財産の評価方法や各種特例の適用によって大きく変わり、専門的な判断を要します。期限を過ぎると取り返しがつかない手続きもあります。実際の相続にあたっては、税理士・弁護士・司法書士などの専門家にご相談ください。運営者は有資格者ではありません。

このツールが使っている基礎控除と税率は 2026年8月時点のものです。 使用している数値と出典を見る

このページの数値と出典

このページで使っている値と、その根拠です。制度の数値も各社の料金も改定されるため、 判断の前には出典元でお確かめください。

相続税・贈与税2026年8月時点

  • 相続税の基礎控除3,000万円+600万円×法定相続人の数
  • 相続税の税率10%〜55%の8段階
  • 配偶者の税額軽減1億6,000万円または法定相続分まで非課税
  • 贈与税の基礎控除(暦年課税)年110万円
  • 相続時精算課税の特別控除累計2,500万円加えて年110万円の基礎控除
  • 住宅取得等資金の贈与の非課税枠省エネ等住宅1,000万円/その他500万円

相続税は財産の評価方法(土地の路線価、非上場株式など)で税額が大きく変わり、小規模宅地等の特例など適用要件の複雑な制度が多数あります。当サイトの試算は概算にすぎません。実際の申告は税理士にご相談ください。

出典: 国税庁「相続税の計算」国税庁「贈与税の計算と税率」国税庁「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」

サイト全体で使っている数値の一覧は 計算の根拠と出典にまとめています。 一次情報と突き合わせた記録も同じページに公開しています。