広告の「利回り」は表面利回りです
物件広告に「利回り5.5%」と書かれていても、それは 年間の満室家賃 ÷ 物件価格という単純な割り算にすぎません。 次のどれも引かれていません。
- 管理費・修繕積立金(オーナーが毎月払います)
- 賃貸管理の委託料(家賃の5%程度)
- 固定資産税・都市計画税
- 空室の期間
- 購入時の諸費用(物件価格の7%前後)
- ローンの返済
これらを引いた手元に残る額が、実際に判断すべき数字です。 上のツールはそこを主役にしています。
表面利回り5%でも赤字になる例
物件2,000万円・家賃8.5万円(表面利回り5.1%)で、1,800万円を金利2%・35年で借りた場合です。
| 満室時の年間家賃 | 1,020,000円 |
|---|---|
| 空室5%を見込んだ家賃 | 969,000円 |
| 管理費・修繕積立金 | −144,000円 |
| 賃貸管理の委託料 | −48,450円 |
| 固定資産税など | −80,000円 |
| ローン返済 | −715,000円程度 |
| 年間の手残り | 約−18,000円 |
表面利回りは5%を超えているのに、毎月およそ1,500円の持ち出しになります。 しかもこの計算には、次に挙げる費用がまだ入っていません。
この試算にも入っていない費用
上のツールは意図的に甘めの計算になっています。含めていないのは次のとおりです。
- 家賃の下落:築年数とともに下がります。20年後も同じ家賃で貸せる前提は現実的ではありません。
- 原状回復・設備の交換:入居者が入れ替わるたびに数万〜数十万円。 給湯器やエアコンの交換もオーナー負担です。
- 修繕積立金の値上がり:新築時は安く設定され、10年ごとに上がるのが一般的です。
- 金利上昇:変動金利なら返済額が増えます。 影響は変動金利 vs 固定金利で試算できます。
- 所得税・住民税:黒字なら課税されます。
- 売却時の価格:最終的な損益はここで決まります。 不動産売却シミュレーターで手残りを計算できます。
つまりこのツールで赤字なら、実際はさらに厳しいということです。
「節税になる」という説明の意味
ワンルームマンション投資の勧誘でよく使われる説明ですが、中身を理解しておく必要があります。
不動産所得が赤字になると、その赤字を給与所得と合算(損益通算)できるため、 所得税・住民税が減ります。つまり「節税になる」とは、 赤字が出ていることを前提にした話です。
減価償却によって帳簿上だけ赤字になるケースもありますが、その場合も償却が終われば効果は消えます。 節税額より持ち出し額のほうが大きければ、単純に損をしています。 上のツールで手残りを確認したうえで、節税額と比べてください。 給与の税額は手取り計算機で確認できます。
空室率の考え方
区分マンション1戸の場合、空室は「5%」のような割合では起きません。 入居しているか、していないかのどちらかです。 1年間空けば収入は0で、その間もローン返済と管理費は出ていきます。
上のツールが出す「赤字になる空室率」は、 年間のうちどれだけ空室でも耐えられるかという余裕の指標として見てください。 これが10%なら、年に1ヶ月強空いただけで赤字ということです。
確認しておきたいこと
- サブリース(家賃保証)の条件:保証賃料は数年ごとに見直され、下げられることがあります。免責期間中は支払われません
- 修繕積立金の長期修繕計画:今後いくらまで上がる予定かが書かれています
- 周辺の家賃相場:提示された家賃が相場より高く設定されていないか
- 売却のしやすさ:買い手が付かない物件は、損失を確定させることもできません
ご注意
当サイトは中立な計算ツールを提供する立場であり、 不動産投資を勧めるものでも、否定するものでもありません。 運営者は宅地建物取引士・ファイナンシャルプランナー等の有資格者ではなく、 個別の物件について助言することはできません。
契約前には、必ず重要事項説明書と長期修繕計画を確認し、 必要に応じて利害関係のない専門家にご相談ください。