米国の高配当株は、NISAと課税口座のどちらに置くか
最終更新: 2026年10月4日
「配当は非課税のNISAで受け取るのが得」というのは、日本株ならそのとおりです。 米国株では少し話が変わります。米国で引かれる10%は、NISAでも戻らないからです。
一方、課税口座で受け取った米国株の配当は、確定申告で外国税額控除を使えば、この10%を取り戻せる場合があります。 つまり米国の10%は、NISAに置くと必ず失い、課税口座に置くと取り戻せることがある税です。 その分だけ、NISAに置いたときの得は日本株より小さくなります。どのくらい小さいのかを計算しました。
配当10万円は、置き場所でこれだけ変わる
| 置き場所 | 日本株 | 米国株 |
|---|---|---|
| NISA | ¥100,000 | ¥90,000 |
| 課税口座(外国税額控除なし) | ¥79,685 | ¥71,716 |
| 課税口座(外国税額控除で全額戻る) | — | ¥81,716 |
米国株は、米国で10%を引かれた残りに、日本の20.315%がかかります (所得税15%・復興特別所得税0.315%・住民税5%)。 外国税額控除で戻るのは、米国で引かれた¥10,000が上限です。
米国株を課税口座に置いて外国税額控除を全額使えると、残る額は¥81,716です。 NISAに置いた¥90,000との差は¥8,284しかありません。 日本株ならNISAと課税口座の差は¥20,315あります。
NISAに置く得は、外国税額控除をどこまで取り戻せるかで変わる
「NISAに置く得」を、課税口座に置いた場合との差として並べます。 米国株は、課税口座で外国税額控除をどこまで取り戻せるかによって変わるので、3段階にしました。
| 課税口座で外国税額控除を | 日本株 | 米国株 |
|---|---|---|
| 取り戻さない(申告しない) | ¥20,315 | ¥18,284 |
| 半分取り戻す | ¥20,315 | ¥13,284 |
| 全額取り戻す | ¥20,315 | ¥8,284 |
外国税額控除を使わない人なら、米国株をNISAに置く得は¥18,284で、日本株の¥20,315と大差ありません。 全額取り戻せる人なら、米国株の得は¥8,284まで下がり、日本株の半分以下になります。
成長投資枠240万円を、どちらに使うか
具体的な場面で比べます。日本の高配当株と米国の高配当株を240万円ずつ持ちたいが、 成長投資枠は1年で240万円までなので、片方しかNISAに入らない、という状況です。 どちらも配当利回り4%(年¥96,000の配当)とそろえて、置き場所の違いだけを見ます。
| 米国株の外国税額控除を | 日本株をNISA | 米国株をNISA | 差 |
|---|---|---|---|
| 取り戻さない(申告しない) | ¥164,848 | ¥162,898 | ¥1,950 |
| 半分取り戻す | ¥169,648 | ¥162,898 | ¥6,750 |
| 全額取り戻す | ¥174,448 | ¥162,898 | ¥11,550 |
どの場合も、日本株をNISAに入れたほうが配当の手取りは多くなります。 差は、外国税額控除を使わない人で年¥1,950、全額取り戻せる人で年¥11,550です。
理由は単純で、米国株の10%は、NISAに置いても課税口座に置いても米国で引かれます。 NISAが守れるのは日本の税金だけなので、日本の税金が丸ごとかかる日本株のほうが、NISAで守れる額が大きくなります。
外国税額控除は、全額戻るとは限らない
上の表で幅を持たせたのは、外国税額控除には条件があるからです。
- 確定申告が必要です。 特定口座の源泉徴収ありで配当を受け取っていても、申告しなければ戻りません。 明細書と、外国で税を払ったことを示す書類を添付します。
- 取り戻せる上限(控除限度額)があります。 おおまかには「その年の所得税額 × 所得全体に占める外国からの所得の割合」で決まります。 給与が中心で所得税額が少ない人は、米国で引かれた額を全部は取り戻せないことがあります。
- 取り戻せなかった分は3年間繰り越せます。 翌年以降に上限の余裕が出れば、そこで使えます。
毎年申告する手間をかけない人は、表の「取り戻さない」の行が自分の数字です。 その場合、日本株と米国株のどちらをNISAに入れても、差は年¥1,950にとどまります。
この計算に入っていないこと
ここで比べたのは配当の手取りだけです。判断するときは、次のことも合わせて考えます。
- 値上がり益。 NISAなら売ったときの利益も非課税です。値上がりの期待が大きいほうをNISAに入れれば、配当の差を上回ることがあります。
- 日本株の配当控除。 課税所得が少ない人は、日本株の配当を課税口座で受け取り、確定申告で総合課税を選ぶと、配当控除で税が軽くなる場合があります。 そうなると日本株をNISAに置く得も小さくなります。米国株の配当には配当控除がありません。
- 為替。 米国株の配当はドルで支払われるので、円に換算した額は為替で変わります。
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本記事の金額は概算です。配当利回りは日本株・米国株とも同じ値を仮定し、為替・減配・増配・値上がり益は含めていません。米国の源泉税率は日米租税条約の限度税率10%です。外国税額控除で戻る額は、所得や申告の内容で決まる控除限度額によって変わるため、0〜全額の幅で示しています。配当控除・住民税の控除限度額の細かな計算は扱っていません。実際の申告は税務署・税理士にご確認ください。出典:国税庁 タックスアンサー No.1240「居住者に係る外国税額控除」、No.1535「NISA制度」。