副業の経費は、どこまで認められるか

最終更新: 2026年8月12日

経費になるかどうかの基準は、実はひとつだけです。

その支出が、副業の売上を得るために必要だったか

「必要だった」と自分で説明できるかが問われます。 判断が難しいのは、家賃や通信費のように 私用と混ざっているものです。ここを扱うのが家事按分です。

経費が増えると、税金はいくら下がるか

本業の年収500万円、副業の売上80万円(雑所得)の場合。

経費 副業の所得 増える税金 経費0のときとの差
¥0 ¥800,000 ¥161,680
¥100,000 ¥700,000 ¥141,470 −¥20,210
¥200,000 ¥600,000 ¥121,260 −¥40,420
¥300,000 ¥500,000 ¥101,050 −¥60,630

経費30万円で、税金が¥60,630下がりました。 経費の額に自分の税率をかけた分だけ下がる、という関係です。 本業の年収が高い人ほど、同じ経費でも効果が大きくなります。

ただし、経費は「使ったお金」です。 税金を減らすために不要なものを買えば、手元のお金は減ります。 使う予定があったものを正しく計上するのが経費で、 節税のために支出を作るのは本末転倒です。

家事按分:割合の決め方

私用と混ざっているものは、使った割合ぶんだけを経費にします。 大事なのは金額より割合の根拠です。

対象 何で割るか 注意
家賃・光熱費 面積の割合、または使った時間の割合 60㎡のうち仕事に使う部屋が9㎡なら15%。週の使用時間で出す方法もあります 「なんとなく3割」は根拠になりません。面積か時間、どちらかで説明できる形にします
通信費(回線・スマホ) 使った時間の割合 1日のうち副業に2時間、私用に6時間なら25% 副業専用の回線・番号を分けると、按分の議論そのものが不要になります
パソコン・機材 使った時間の割合。10万円以上は減価償却 20万円のPCを副業で50%使うなら、10万円ぶんを数年に分けて計上 10万円未満なら一括で計上できます。金額で扱いが変わります
書籍・講座 副業に直接必要かどうか その副業の技術書、業務に使うツールの講座 一般的な教養・自己啓発は認められにくい部分です
AIツールの利用料 使った割合。副業専用なら全額 月額プランを副業でしか使っていないなら100% 本業や私用でも使っているなら按分します
交通費・打ち合わせ その用件が副業のものか 取材、納品、打ち合わせの移動 同行者や目的を記録しておくと説明しやすくなります

いちばん確実なのは「分けてしまう」ことです。 副業専用のスマホ、専用のクレジットカード、専用の口座。 分けてあれば按分の議論そのものが起きません。 年に何度も悩むくらいなら、最初に分けるほうが早いです。

根拠の残し方

按分の割合は、あとから「なぜその割合なのか」を聞かれることがあります。 そのときに答えられる形にしておきます。

  1. 割合を決めた根拠を、1行でメモする。 「全60㎡のうち仕事部屋9㎡=15%」「1日8時間のうち副業2時間=25%」。 紙1枚で十分です。計算式が残っていることが大事です。
  2. 間取り図や写真を1枚残す。 面積で按分するなら、その部屋を仕事に使っていることの裏づけになります。
  3. レシートに用途を書く。 「◯◯の取材」「△△案件の資料」。 あとから見返したときに、自分でも思い出せません。
  4. 途中で割合を変えたら、その時期も記録する。 引っ越した、部屋を変えた、稼働が増えた。変わること自体は問題ありません。

帳簿と裏づけの書類は保存する義務があります。 レシートを捨ててしまうと、正しく使ったお金でも経費として説明できなくなります。

認められにくいもの

  • 私用と区別がつかない支出 — 毎日の食事、日用品、私服。 「仕事のときも着る」では、経費にする根拠になりません。
  • 家族との食事・旅行 — 相手と目的が説明できなければ難しい部分です。
  • 一般的な自己啓発 — その副業に直接必要な技術書と、教養のための読書は別に扱われます。
  • 売上に対して不自然に大きい支出 — 売上10万円で経費100万円が毎年続くなら、 事業として認められるかという別の問題になります。

グレーな部分を無理に押し込むより、 確実なものを取りこぼさないほうが効果は大きいです。 AIツールの利用料、素材の購入、書籍、手数料。 レシートを捨てているだけで計上できていない、というのがよくある取りこぼしです。

青色申告なら、もう一段変わる

継続してやるなら、開業届を出して青色申告にすると 経費とは別に控除が受けられます。 同じ売上・同じ経費でも、所得がさらに下がります。 条件と手続きは開業届と青色申告はいつ出すと得かにまとめました。

関連するツールと記事

本記事は一般的な考え方をまとめたものです。何が必要経費として認められるかは個別の事情によって判断され、按分の割合に決まった正解はありません。金額の大きい資産の扱いや所得区分の判定にも細かいルールがあります。記載した税額は概算です。実際の申告にあたっては、国税庁の案内または税務署・税理士にご確認ください。

このツールが使っている税率・料率は 2026年8月時点のものです。 使用している数値と出典を見る

このページの数値と出典

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給与の手取り(所得税・住民税・社会保険料)2026年8月時点

  • 健康保険(本人負担)5.0%協会けんぽ全国平均10%の半分
  • 介護保険(40〜64歳・本人負担)0.8%
  • 厚生年金(本人負担)9.15%18.3%の半分
  • 雇用保険(本人負担)0.6%一般の事業
  • 所得税の基礎控除58〜95万円令和7年分から合計所得金額に応じた段階制。132万円以下は95万円
  • 住民税の基礎控除43万円
  • 住民税(所得割)10%
  • 住民税(均等割)5,000円自治体により差があります
  • 復興特別所得税所得税額の2.1%
  • 給与所得控除令和7年分以降の速算表最低保障額65万円(収入190万円以下)
  • 所得税の税率5%〜45%の7段階(累進)

社会保険料は全国平均の料率を年収に対して概算で掛けています。実際は標準報酬月額の等級表で決まり、加入している健康保険組合や都道府県によって変わります。扶養・生命保険料控除などの所得控除は含めていません。

出典: 国税庁「所得税の税率」国税庁「給与所得控除」国税庁「基礎控除」全国健康保険協会「保険料額表」日本年金機構「厚生年金保険の保険料」

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