5年を境に、税金がほぼ半分になる
金の売却益は「譲渡所得」として、給与と合算して課税されます(総合課税)。 計算の流れは、売却益から特別控除50万円を引き、持っていた期間が5年を超えていれば残りを2分の1にする、というものです。 年収500万円の会社員で比べると、次のとおりです。
| 売却益 | 5年以内 | 5年超 | 差 |
|---|---|---|---|
| 50万円 | ¥0 | ¥0 | ¥0 |
| 100万円 | ¥92,576 | ¥42,051 | ¥50,525 |
| 200万円 | ¥368,596 | ¥143,101 | ¥225,495 |
| 300万円 | ¥672,796 | ¥244,151 | ¥428,645 |
| 500万円 | ¥1,291,406 | ¥596,746 | ¥694,660 |
売却益50万円までは特別控除で税金がかかりません。 それを超えると、5年以内なら超えた分がまるごと、5年超なら半分だけが給与に上乗せされます。 売却益300万円の例では、5年超なら¥244,151、5年以内なら¥672,796。 5年の期限が近いなら、売る時期を待つだけで税金が変わります。持っていた期間は、買った日(相続した金は亡くなった人が買った日)から売った日までで数えます。
年収が高いほど、同じ利益でも税金が重い
総合課税なので、上乗せされた利益には給与と同じ累進税率がかかります。 株の売却益なら年収にかかわらず一律20.315%ですが、金は給与が多い人ほど税率が上がります。
| 給与の年収 | 税金 | 売却益に対する割合 |
|---|---|---|
| 300万円 | ¥188,812 | 6.3% |
| 500万円 | ¥244,151 | 8.1% |
| 800万円 | ¥390,460 | 13% |
| 1,200万円 | ¥448,963 | 15% |
同じ300万円の利益が株の売却益だったら、税金は¥609,450です。 金は特別控除と2分の1課税があるので、5年超で持っていた場合は、多くの年収で株より税金が軽くなります。 ただし5年以内に売ると、年収500万円でも¥672,796と、株より重くなります。 株と暗号資産の扱いは、株の税金計算と暗号資産の税金計算で比べられます。
200万円を超えると、業者から税務署に支払調書が出る
金の買取業者は、1回の売却代金が200万円を超えると、売った人の本人確認をしたうえで、税務署に支払調書を提出します。 国税庁はこの調書を使って金の売却益の調査をしていると公表しています。
ただし、支払調書が出るかどうかと、申告が必要かどうかは別の話です。 200万円以下に分けて売っても、利益が出ていれば申告の義務は変わりません。 逆に、200万円を超えて売っても、売却益が特別控除の範囲なら税金はかかりません。
確定申告が要るかどうか
- 会社員(年末調整を受けている人):金の売却益から特別控除を引いた額と、ほかの副収入の所得の合計が20万円を超えたら、所得税の確定申告が必要です。売却益だけなら、70万円を超えると申告が必要になります。
- 20万円以下でも:所得税の申告は不要でも、住民税の申告は必要です。
- 年金で暮らしている人・自営業の人:もともと確定申告をしているなら、そこに譲渡所得として加えます。
申告の期限は、売った年の翌年3月15日です。 手順は確定申告のやり方にまとめています。
購入額がわからないときは、売却額の5%
昔買った金で領収書がない場合、取得費は売却額の5%として計算できます(概算取得費)。 ただしこれは、実際の購入額よりかなり小さくなることがほとんどです。 売却額300万円・5年超の例では、実際に150万円で買っていたのに5%で計算すると、税金は¥92,576から¥228,993に増えます。 購入時の納品書、買った店の取引履歴、通帳の出金記録などで購入額がわかれば、そちらを使ってください。
消費税は、個人が納めるものではない
金の買取価格には消費税相当額が含まれていますが、事業としてではなく個人が持っていた金を売る場合、受け取った人が消費税を納める必要はありません。 反対に、買ったときに払った消費税は取得費に含めて計算します。
このツールで扱わないもの
- 純金積立・金の投資信託・金ETF:純金積立の売却は金地金と同じ扱いになることが多い一方、金融類似商品(金投資口座など)は20.315%の源泉分離課税、金ETFや投資信託は株と同じ申告分離課税で、計算が違います。
- 商売として繰り返し売買している場合:事業所得や雑所得になります。
- 売却損:ほかの総合課税の譲渡益とは相殺できますが、このツールでは扱っていません。