所得税率が上がる境目の年収を、全部計算した

最終更新: 2026年10月17日

国税庁の速算表には「課税所得195万円まで5%、330万円まで10%」と書かれています。 正しいのですが、自分の年収でいくらなのかは書かれていません。 課税所得は年収からいろいろ引いたあとの数字なので、そのままでは見当がつきません。 そこで、年収に翻訳しました。

結論(単身・控除は基本のみ)

526万円で5%→10%、 674万円で10%→20%

扶養・生命保険料控除・iDeCoなどがあると、境目はもっと高い年収に動きます。

境目の一覧

税率の変化 課税所得 額面年収 超えた後の限界税率
5% → 10% 195万円 526万円 20.2%
10% → 20% 330万円 674万円 30.4%
20% → 23% 695万円 1,084万円 33.5%
23% → 33% 900万円 1,301万円 43.7%
33% → 40% 1,800万円 2,224万円 50.8%
40% → 45% 4,000万円 4,373万円 55.9%

「限界税率」は、あと1万円稼いだときに引かれる率です。 所得税に復興特別所得税(2.1%)を乗せ、 住民税の所得割10%を足しています。 所得税だけを見ていると、実感より軽く見積もることになります。

改正で、境目は全部ずれた

給与所得控除の最低額は、令和6年分までの55万円から令和7年分で65万円、令和8年分で74万円に上がりました。 基礎控除も、48万円から令和7年分で最大95万円、令和8年分で合計所得489万円以下は104万円に上がっています。 下の表は、令和6年分までと令和8年分の比較です(1年だけ使われた令和7年分の境目は、5%→10%が年収約476万円、10%→20%が約669万円でした)。 控除が増えれば課税所得は減るので、同じ課税所得に到達する年収は上がります。 つまり、境目の年収が全体に後ろへ動きました。

税率の変化 改正前の年収 現行の年収 動いた幅
5% → 10% 440万円 526万円 +86万円
10% → 20% 647万円 674万円 +27万円
20% → 23% 1,069万円 1,084万円 +15万円
23% → 33% 1,286万円 1,301万円 +15万円
33% → 40% 2,210万円 2,224万円 +14万円
40% → 45% 4,373万円 4,373万円 +0万円

いちばん下の帯がいちばん大きく動いています(+86万円)。 控除の引き上げ幅は誰にとっても同じですが、低い年収帯ほど基礎控除の上乗せが大きいため、 影響もそこに集中しました。

最高税率の帯(40%→45%)だけ動いていません。 合計所得金額が2,500万円を超えると基礎控除が0になるので、 改正の前後で条件が変わらないからです。

注意:「年収440万円で税率が10%になる」「年収650万円で20%になる」といった数字は、 改正前のものです。令和7年分の「476万円・669万円」も、令和8年分では古くなりました。 いつ時点の情報かを確かめてから使ってください。

税率の境目とは別に、令和8年分には年収約666万円で基礎控除が104万円から67万円に下がる段差があります。 税率と違ってこちらは控除そのものが減るので、越えたところで手取りが約3万円減ります。 詳しくは年収が上がって手取りが減ることはあるのかにまとめています。

40歳以上は、境目が少しだけ後ろにある

40歳になると介護保険料(本人負担0.81%)が加わります。 社会保険料は全額が所得控除になるので、そのぶん課税所得が下がり、 税率が上がる年収がわずかに後ろへずれます。

税率の変化 40歳未満 40歳以上
5% → 10% 526万円 532万円
10% → 20% 674万円 681万円
20% → 23% 1,084万円 1,094万円
23% → 33% 1,301万円 1,313万円

保険料が増えたぶん手取りは減っていますが、税率の境目という意味では後ろへ動きます。 得をしているわけではありません。

この表の使い方

1. 「税率が上がるから損」は誤解

境目を超えても、上がった税率がかかるのは超えた部分だけです。 年収が1円増えたせいで手取り全体が減ることは、所得税では起きません。 これは年収が上がって手取りが減ることはあるのかで 実際に計算しています。

2. 境目の少し上にいる人ほど、控除が効く

iDeCoやふるさと納税、医療費控除で戻ってくる金額は、限界税率で決まります。 課税所得が330万円のすぐ上にいる人は、控除で課税所得を下げると 30.4%の帯から20.2%の帯へ落とせるので、 戻る率がいちばん高くなります。

逆に、境目のはるか下にいる人が同じ額を掛けても、戻る率は低いままです。 「iDeCoは年収が高い人ほど得」と言われるのは、この構造によるものです。 自分の場合いくら戻るかはiDeCo節税額シミュレーターで確認できます。

3. 昇給の交渉材料にはならない

「境目の手前で止めたほうがいい」ということはありません。 手取りは増え続けるので、境目を理由に昇給を断る意味はまったくありません。 境目が意味を持つのは、控除をどれだけ使うかを決めるときだけです。

前提と、ずれる理由

この表は単身・給与所得のみで、 控除は給与所得控除・社会保険料控除・基礎控除だけを見た概算です。 実際にはこれ以外の控除があるので、本当の境目はもっと高い年収になります。

  • 扶養控除(1人38万円〜)— 子どもがいれば境目は数十万円上がります
  • 配偶者控除(38万円)
  • 生命保険料控除・地震保険料控除
  • iDeCoの掛金(全額)
  • 医療費控除・ふるさと納税

正確に知りたいときは、源泉徴収票の「課税される所得金額」を見るのが確実です。 そこに書かれている数字を、上の表の「課税所得」の列と突き合わせてください。 年収から逆算するより、はるかに早く正確です。

自分の年収での課税所得と手取りは手取り計算で、 目標の手取りから必要な額面は額面の逆算で確かめられます。 いま年収600万円なら課税所得は約243.71万円、 手取りは¥4,658,110という具合です。

本記事の金額は全国平均の料率による概算です。控除は給与所得控除・社会保険料控除・基礎控除のみを見ており、扶養控除・配偶者控除・生命保険料控除などは含めていません。社会保険料率は加入先や都道府県で変わります。実際の課税所得は源泉徴収票でご確認ください。

このツールが使っている税率・料率は 2026年10月時点のものです。 使用している数値と出典を見る

このページの数値と出典

このページで使っている値と、その根拠です。制度の数値も各社の料金も改定されるため、 判断の前には出典元でお確かめください。

給与の手取り(所得税・住民税・社会保険料)2026年10月時点

  • 健康保険(本人負担)4.95%協会けんぽ令和8年度の全国平均9.9%の半分
  • 子ども・子育て支援金(本人負担)0.115%令和8年度の0.23%の半分。令和8年4月分から
  • 介護保険(40〜64歳・本人負担)0.81%令和8年度の1.62%の半分
  • 厚生年金(本人負担)9.15%18.3%の半分
  • 雇用保険(本人負担)0.5%一般の事業・令和8年度
  • 所得税の基礎控除62〜104万円令和8・9年分。合計所得489万円以下は104万円、655万円以下は67万円、それ以上は62万円
  • 住民税の基礎控除43万円
  • 住民税(所得割)10%
  • 住民税(均等割)5,000円市町村3,000円+道府県1,000円+森林環境税1,000円。自治体により差があります
  • 復興特別所得税所得税額の2.1%
  • 給与所得控除令和8・9年分の速算表最低保障額74万円(収入220万円以下)
  • 所得税の税率5%〜45%の7段階(累進)

社会保険料は全国平均の料率を年収に対して概算で掛けています。実際は標準報酬月額の等級表で決まり、加入している健康保険組合や都道府県によって変わります。扶養・生命保険料控除などの所得控除は含めていません。

出典: 国税庁「所得税の税率」/国税庁「給与所得控除」/国税庁「基礎控除」/国税庁「源泉所得税の改正のあらまし(令和8年4月)」/国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」/全国健康保険協会「保険料額表」/厚生労働省「雇用保険料率について」/総務省「個人住民税」/こども家庭庁「子ども・子育て支援金制度について」/日本年金機構「厚生年金保険の保険料」

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