所得税率が上がる境目の年収を、全部計算した
最終更新: 2026年8月11日
国税庁の速算表には「課税所得195万円まで5%、330万円まで10%」と書かれています。 正しいのですが、自分の年収でいくらなのかは書かれていません。 課税所得は年収からいろいろ引いたあとの数字なので、そのままでは見当がつきません。 そこで、年収に翻訳しました。
結論(単身・控除は基本のみ)
476万円で5%→10%、 669万円で10%→20%
扶養・生命保険料控除・iDeCoなどがあると、境目はもっと高い年収に動きます。
境目の一覧
| 税率の変化 | 課税所得 | 額面年収 | 超えた後の限界税率 |
|---|---|---|---|
| 5% → 10% | 195万円 | 476万円 | 20.2% |
| 10% → 20% | 330万円 | 669万円 | 30.4% |
| 20% → 23% | 695万円 | 1,113万円 | 33.5% |
| 23% → 33% | 900万円 | 1,353万円 | 43.7% |
| 33% → 40% | 1,800万円 | 2,409万円 | 50.8% |
| 40% → 45% | 4,000万円 | 4,921万円 | 55.9% |
「限界税率」は、あと1万円稼いだときに引かれる率です。 所得税に復興特別所得税(2.1%)を乗せ、 住民税の所得割10%を足しています。 所得税だけを見ていると、実感より軽く見積もることになります。
改正で、境目は全部ずれた
令和7年分から給与所得控除の最低額が65万円に、基礎控除が最大95万円に引き上げられました。 控除が増えれば課税所得は減るので、同じ課税所得に到達する年収は上がります。 つまり、境目の年収が全体に後ろへ動きました。
| 税率の変化 | 改正前の年収 | 現行の年収 | 動いた幅 |
|---|---|---|---|
| 5% → 10% | 440万円 | 476万円 | +36万円 |
| 10% → 20% | 647万円 | 669万円 | +22万円 |
| 20% → 23% | 1,101万円 | 1,113万円 | +12万円 |
| 23% → 33% | 1,341万円 | 1,353万円 | +12万円 |
| 33% → 40% | 2,397万円 | 2,409万円 | +12万円 |
| 40% → 45% | 4,921万円 | 4,921万円 | +0万円 |
いちばん下の帯がいちばん大きく動いています(+36万円)。 控除の引き上げ幅は誰にとっても同じですが、低い年収帯ほど基礎控除の上乗せが大きいため、 影響もそこに集中しました。
最高税率の帯(40%→45%)だけ動いていません。 合計所得金額が2,500万円を超えると基礎控除が0になるので、 改正の前後で条件が変わらないからです。
注意:「年収440万円で税率が10%になる」「年収650万円で20%になる」といった数字は、 改正前のものです。まだ多くのページに残っているので、 いつ時点の情報かを確かめてから使ってください。
40歳以上は、境目が少しだけ後ろにある
40歳になると介護保険料(本人負担0.8%)が加わります。 社会保険料は全額が所得控除になるので、そのぶん課税所得が下がり、 税率が上がる年収がわずかに後ろへずれます。
| 税率の変化 | 40歳未満 | 40歳以上 |
|---|---|---|
| 5% → 10% | 476万円 | 477万円 |
| 10% → 20% | 669万円 | 676万円 |
| 20% → 23% | 1,113万円 | 1,123万円 |
| 23% → 33% | 1,353万円 | 1,366万円 |
保険料が増えたぶん手取りは減っていますが、税率の境目という意味では後ろへ動きます。 得をしているわけではありません。
この表の使い方
1. 「税率が上がるから損」は誤解
境目を超えても、上がった税率がかかるのは超えた部分だけです。 年収が1円増えたせいで手取り全体が減ることは、所得税では起きません。 これは年収が上がって手取りが減ることはあるのかで 実際に計算しています。
2. 境目の少し上にいる人ほど、控除が効く
iDeCoやふるさと納税、医療費控除で戻ってくる金額は、限界税率で決まります。 課税所得が330万円のすぐ上にいる人は、控除で課税所得を下げると 30.4%の帯から20.2%の帯へ落とせるので、 戻る率がいちばん高くなります。
逆に、境目のはるか下にいる人が同じ額を掛けても、戻る率は低いままです。 「iDeCoは年収が高い人ほど得」と言われるのは、この構造によるものです。 自分の場合いくら戻るかはiDeCo節税額シミュレーターで確認できます。
3. 昇給の交渉材料にはならない
「境目の手前で止めたほうがいい」ということはありません。 手取りは増え続けるので、境目を理由に昇給を断る意味はまったくありません。 境目が意味を持つのは、控除をどれだけ使うかを決めるときだけです。
前提と、ずれる理由
この表は単身・給与所得のみで、 控除は給与所得控除・社会保険料控除・基礎控除だけを見た概算です。 実際にはこれ以外の控除があるので、本当の境目はもっと高い年収になります。
- 扶養控除(1人38万円〜)— 子どもがいれば境目は数十万円上がります
- 配偶者控除(38万円)
- 生命保険料控除・地震保険料控除
- iDeCoの掛金(全額)
- 医療費控除・ふるさと納税
正確に知りたいときは、源泉徴収票の「課税される所得金額」を見るのが確実です。 そこに書かれている数字を、上の表の「課税所得」の列と突き合わせてください。 年収から逆算するより、はるかに早く正確です。
自分の年収での課税所得と手取りは手取り計算で、 目標の手取りから必要な額面は額面の逆算で確かめられます。 いま年収600万円なら課税所得は約279.5万円、 手取りは¥4,619,678という具合です。
本記事の金額は全国平均の料率による概算です。控除は給与所得控除・社会保険料控除・基礎控除のみを見ており、扶養控除・配偶者控除・生命保険料控除などは含めていません。社会保険料率は加入先や都道府県で変わります。実際の課税所得は源泉徴収票でご確認ください。