残業代は正しく出ているか
最終更新: 2026年8月12日
残業代の割増率は法律で最低ラインが決まっています。 会社が独自に決めているのはそれより上の部分だけです。 自分の明細と突き合わせれば、合っているかは確かめられます。
割増率は4種類だけ
| 種類 | 割増率 | 支払われる額 |
|---|---|---|
| 時間外(1日8時間・週40時間を超えた分) | 25%増し | 基礎賃金 × 1.25 |
| 月60時間を超えた時間外 | 50%増し | 基礎賃金 × 1.5 |
| 深夜(22時〜5時) | 重ねて25%増し | 時間外と重なれば × 1.5 |
| 法定休日 | 35%増し | 基礎賃金 × 1.35 |
見落とされやすいのが月60時間超です。 ここを超えた分は25%ではなく50%増しになります。 中小企業も対象です。残業が多い月ほど、単価そのものが上がると覚えてください。
実際にいくらになるか
月給30万円、月の所定労働時間160時間の場合。 基礎となる時給は¥1,875です (30万円 ÷ 160時間)。
| 働き方 | 残業代 | うち60時間超 |
|---|---|---|
| 残業20時間 | ¥46,875 | — |
| 残業45時間 | ¥105,469 | — |
| 残業70時間 | ¥168,750 | 10時間 |
| 残業20時間+深夜10時間 | ¥75,000 | — |
| 残業20時間+休日8時間 | ¥67,125 | — |
残業70時間のケースでは、60時間を超えた10時間が50%増しになるため、 すべて25%で計算した場合より¥4,687多くなります。 明細でここが反映されていなければ、確認する価値があります。
基礎賃金から除けるもの
割増の計算に使う「基礎賃金」には、すべての手当が入るわけではありません。 次のものは除くことができます。
- 通勤手当
- 家族手当
- 住宅手当
- 別居手当・子女教育手当
- 臨時に支払われる賃金(結婚祝金など)
- 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
ただし名前ではなく実態で判断されます。 「住宅手当」という名前でも全員に一律1万円払っているなら、 住宅の費用に応じたものではないため除けません。 逆に、役職手当や資格手当は基礎に含めます。 明細に手当が多い会社ほど、ここの確認は意味があります。
固定残業代(みなし残業)の見方
固定残業代は「残業代を払わなくていい制度」ではありません。 あらかじめ決まった時間ぶんを先に払っているだけなので、 その時間を超えたら別に支払われる必要があります。
有効といえるためには、次が明示されている必要があります。
- 何時間ぶんなのか(例:月30時間ぶん)
- いくら支払われているのか(例:月5万円)
- 基本給と区別されている(明細で分かれている)
これが示されていない場合、その手当は固定残業代として認められず、 基本給の一部として扱われることがあります。 そうなると基礎賃金が上がり、残業代の単価も上がります。 「営業手当に残業代を含む」とだけ書かれているようなケースは、 一度確認する価値があります。
明細と突き合わせる手順
- 基礎賃金を出す。 月給から、上に挙げた除ける手当を引き、月の所定労働時間で割ります。 所定労働時間は就業規則か雇用契約書に書かれています。
- 自分の残業時間を数える。 タイムカード、勤怠システム、PCのログ。 会社の記録と自分の記録がずれていないかも見ます。
- 種類ごとに分ける。 通常の時間外、深夜、法定休日、60時間超。 まとめて計算すると差が見えません。
- 計算して、明細の金額と比べる。 残業代計算機で出せます。
- 合わなければ、まず会社に確認する。 計算方法の認識違いということもあります。 それでも解決しなければ、労働基準監督署に相談できます。
時効は3年
未払いの残業代を請求できる期間は3年です (当分の間の措置で、本来は5年とされています)。 さかのぼれる範囲には限りがあるので、 気づいた時点で記録を確保しておくことが実務上いちばん重要です。
記録は在職中にしか集められません。 タイムカードの控え、勤怠システムの画面、業務メールの時刻、 交通系ICカードの履歴。 辞めてから請求しようとしても、証拠がなければ主張しにくくなります。
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本記事は労働基準法にもとづく一般的な内容をまとめたものです。割増率は法定の最低ラインで、会社の規定によってはこれより高いことがあります。基礎賃金から除ける手当の判断や、固定残業代の有効性は個別の事情によります。管理監督者や裁量労働制など、扱いが異なる働き方もあります。個別の判断は勤務先、労働基準監督署、または弁護士等の専門家にご確認ください。