年末調整の書き方

最終更新: 2026年10月17日

毎年11〜12月になると会社から配られる年末調整の書類。「どこに何を書けばいいの?」と 毎年迷う人も多いはずです。この記事では、提出する3枚の書類の書き方を、 ポイントを絞って解説します。戻ってくる金額の目安は 年末調整シミュレーターで先に確認できます。

年末調整とは(1分でおさらい)

毎月の給与から天引きされている所得税は「仮の金額」です。年末調整で生命保険料控除などを 反映して1年分の税額を確定させ、天引きしすぎた分が戻ってきます。 だから書類をきちんと書くほど、戻る金額が増える可能性があります。

令和8年分で変わったこと(先に確認)

令和8年度の税制改正が、今年12月の年末調整から適用されます。 11月までの給与やボーナスの天引きは改正前の税額表のままなので、 控除が増えた分は12月の年末調整でまとめて戻ってきます。書類で影響があるのは次の4点です。

年末調整の書類に関係する改正(令和8年分)
項目令和8年分書く書類
本人の基礎控除 年収約666万円以下で104万円、約850万円以下で67万円、それを超えると62万円 ②
配偶者控除・扶養控除の対象 家族の給与収入136万円以下 ①・②
配偶者特別控除 配偶者の給与収入136万円超〜207万円以下(169万円までは38万円) ②
特定親族特別控除(19〜22歳) 子などの給与収入136万円超〜197万円以下 ②

年収は給与だけの場合の目安。基礎控除は本人の合計所得金額(489万円・655万円)で決まります。 出典:国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」。

今年は「本人の年収の見積もり」と「家族の収入見込み」の2か所が、去年と同じ書き方では済みません。 去年は対象外だった家族が、今年は控除の対象に入っていることもあります。 年収別にどれくらい戻りが増えるかは今年の年末調整は戻りが増える?に、 自分の金額は年末調整シミュレーターで、 扶養の上限の考え方は103万円の壁はどこへ行った?で確認できます。

提出する3枚の書類

会社や年によって様式は変わりますが、基本は次の3枚です。

  1. 扶養控除等(異動)申告書(翌年分)
  2. 基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼特定親族特別控除申告書兼所得金額調整控除申告書(その年分。以下「②の申告書」)
  3. 保険料控除申告書(その年分)

住宅ローン控除の2年目以降は、これに住宅借入金等特別控除申告書が加わります。

① 扶養控除等(異動)申告書

扶養している家族を書く書類です。これを出すことで、配偶者や子・親などの 扶養控除が受けられます。 年末調整の時期に配られるのは翌年(令和9年分)の書類で、来年の毎月の天引きに使われます。 今年の控除を決めるのは、今年の初めに出した令和8年分の書類と②の申告書です。 今年の家族の状況が年の初めと変わっていたら、勤務先に令和8年分の書類の訂正を申し出てください。

  • 本人情報:氏名・住所・マイナンバーなど
  • 控除対象の配偶者・扶養親族:給与収入の見込みが136万円以下の家族を記入(令和8年分から。去年までは123万円)
  • 16歳未満の子:住民税に関係するため、下段の欄に記入(所得税の控除はなし)
  • 19〜22歳の子:「特定扶養親族」で控除が大きい(63万円)ので忘れずに。アルバイト収入が136万円を超えた場合は、②の申告書の特定親族特別控除の欄に書きます

② 基礎控除・配偶者控除等・特定親族特別控除・所得金額調整控除の申告書

1枚に4つの申告がまとまった書類です。主に次を記入します。

  • 基礎控除:自分の今年の給与収入と所得の見積もりを書き、区分を選びます。 令和8年分は区分が細かくなり、合計所得489万円(年収で約666万円)と655万円(約850万円)が分かれ目です。 年収がこの近くの人は、12月の給与やボーナスを含めた1年分で見積もってください。 489万円の区分を1つ間違えると、控除が37万円ずれます。
  • 配偶者控除・配偶者特別控除:配偶者がいる場合、配偶者の収入見込みを書きます。 配偶者の給与収入が136万円以下なら配偶者控除、207万円以下なら配偶者特別控除の対象です。 パートの配偶者がいる人は扶養の壁シミュレーターもあわせて確認を。
  • 特定親族特別控除:19〜22歳の子などの給与収入が136万円を超え197万円以下のときに書きます。 控除額は子の収入に応じて63万円から段階的に減ります。
  • 所得金額調整控除:年収850万円超で、子育て・介護をしている人などが対象です。

③ 保険料控除申告書

支払った保険料や掛金を書いて控除を受ける、いちばん「戻り」に直結する書類です。 秋ごろに届く控除証明書を見ながら金額を転記し、証明書を添付します。

  • 生命保険料控除:一般・介護医療・個人年金の3区分。区分ごとに証明書の金額を記入します。
  • 地震保険料控除:地震保険の控除証明書から記入。
  • 小規模企業共済等掛金控除:iDeCoの掛金はここ。全額が控除になります。
  • 社会保険料控除:給与天引き以外に自分で払った国民年金など(家族の分を払った場合も)。

よくある間違い

  • 控除証明書の添付忘れ:金額を書いても証明書がないと控除されません。
  • iDeCoの書き忘れ:節税効果が大きいのに、記入欄を見落としがちです。
  • 配偶者の収入見込みの誤り:見込みが実際と大きく違うと、後で調整が必要になります。
  • 去年の上限で家族を外してしまう:123万円を超えたから対象外、と去年の感覚で書かないこと。令和8年分は136万円以下なら対象です。
  • 年の途中で入社した人の前職分:前職の源泉徴収票を提出しないと正しく計算されません。

年末調整でできないこと

医療費控除・ふるさと納税(ワンストップ特例を使わない場合)・住宅ローン控除の1年目などは、 年末調整ではできず自分で確定申告します。手順は 確定申告のやり方を、医療費控除は 医療費控除のやり方を参考にしてください。

本記事は一般的な書き方をまとめたものです。書類の様式や記入欄は年・勤務先で変わることがあります。正確な記入方法は勤務先の担当部署や国税庁の情報をご確認ください。

このツールが使っている税率・料率は 2026年10月時点のものです。 使用している数値と出典を見る

このページの数値と出典

このページで使っている値と、その根拠です。制度の数値も各社の料金も改定されるため、 判断の前には出典元でお確かめください。

給与の手取り(所得税・住民税・社会保険料)2026年10月時点

  • 健康保険(本人負担)4.95%協会けんぽ令和8年度の全国平均9.9%の半分
  • 子ども・子育て支援金(本人負担)0.115%令和8年度の0.23%の半分。令和8年4月分から
  • 介護保険(40〜64歳・本人負担)0.81%令和8年度の1.62%の半分
  • 厚生年金(本人負担)9.15%18.3%の半分
  • 雇用保険(本人負担)0.5%一般の事業・令和8年度
  • 所得税の基礎控除62〜104万円令和8・9年分。合計所得489万円以下は104万円、655万円以下は67万円、それ以上は62万円
  • 住民税の基礎控除43万円
  • 住民税(所得割)10%
  • 住民税(均等割)5,000円市町村3,000円+道府県1,000円+森林環境税1,000円。自治体により差があります
  • 復興特別所得税所得税額の2.1%
  • 給与所得控除令和8・9年分の速算表最低保障額74万円(収入220万円以下)
  • 所得税の税率5%〜45%の7段階(累進)

社会保険料は全国平均の料率を年収に対して概算で掛けています。実際は標準報酬月額の等級表で決まり、加入している健康保険組合や都道府県によって変わります。扶養・生命保険料控除などの所得控除は含めていません。

出典: 国税庁「所得税の税率」/国税庁「給与所得控除」/国税庁「基礎控除」/国税庁「源泉所得税の改正のあらまし(令和8年4月)」/国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」/全国健康保険協会「保険料額表」/厚生労働省「雇用保険料率について」/総務省「個人住民税」/こども家庭庁「子ども・子育て支援金制度について」/日本年金機構「厚生年金保険の保険料」

サイト全体で使っている数値の一覧は 計算の根拠と出典にまとめています。 一次情報と突き合わせた記録も同じページに公開しています。