ふるさと納税は2026年10月と2027年で何が変わるか

最終更新: 2026年8月29日

ふるさと納税の改正は、時期の違う2つが同時に語られているため 話が混ざりがちです。分けて整理します。 寄付する人の控除額に効くのは、片方だけです。

2026年10月から

自治体が指定を受けるための基準

  • 募集費用5割以下の基準を削除
  • 寄附金活用可能額を60%以上へ(段階適用)
  • 地場産品は「価値の過半」が要件に

控除額への影響:なし

2027年の寄付分から

特例控除額の定額上限

  • 上限193万円を新設
  • 給与収入1億円相当の水準
  • 個人住民税は令和10年度分から

控除額への影響:あり(高額寄付のみ)

2027年から、控除に193万円の上限がつきます

いまの特例控除額は「個人住民税の所得割額の2割」までで、 所得が高いほど上限も上がり続けます。ここに定額の頭打ちが入ります。

税目 上限 指定都市に住所がある場合
道府県民税 77万2千円 38万6千円
市町村民税 115万8千円 154万4千円
合計 193万円 193万円(同じ)

総務省の資料では、この193万円は給与収入1億円の人が438万円を寄付したときの 特例控除額にあたるとされています。 年収1,000万円のモデルケースでの特例控除額は32万円なので、 ふつうの年収帯では、この上限に届きません

間違えやすいのは、これは「寄付できる額の上限」ではないという点です。 総務省の資料にも「寄附額に上限はない」「特例控除額の上限を超えた場合であっても、 基本分の控除の適用あり」と明記されています。 193万円を超えて寄付することはできますし、 超えた部分についても住民税10%の基本分と所得税の所得控除は受けられます。

適用は令和9年(2027年)の寄付分からで、 個人住民税でいうと令和10年度分以後です。 2026年中の寄付には関係しません。

2026年10月は「集めたお金の6割を自治体が使う」ルールへ

こちらは自治体側の話です。いま告示で決まっている 「募集費用は寄附金額の5割以下」という基準は、2026年10月1日に削除されます。 かわりに地方税法へ、次の基準が入ります。

地方税法 第37条の2第2項第2号イ(改正後)

…受領する第一号寄附金の額の合計額から…募集に要する費用の額…を控除して得た額 (…「寄附金活用可能額」という。)が、…第一号寄附金の額の合計額の 百分の六十に相当する金額以上であること。

「募集費用の上限」ではなく「自治体の手元に残る割合の下限」という 言い方に変わりました。裏返せば募集費用は40%以下ですが、 いきなり60%にはなりません。段階的に上がります。

指定対象期間 活用可能額の下限 裏返すと募集費用は
令和8年10月〜令和9年9月 最初の指定 52.5% 47.5%以下
令和9年10月〜令和10年9月 55% 45%以下
令和10年10月〜令和11年9月 57.5% 42.5%以下
令和11年10月以降 ここが最終的な水準 60% 40%以下

よく見る「経費が4割になる」は、 いちばん最後の令和11年の姿です。 2026年10月の時点では52.5%(募集費用47.5%以下)から始まります。 令和6年度の募集費用の実績は46.4%だったので、 初年度の水準は現状とそう離れていません。

なぜこの見直しが入ったのか

令和6年度の受入実績1兆2,728億円の内訳(総務省資料)。

地方団体が使える財源 6,826億円 53.6%
返礼品 3,208億円 25.2%
事務費など 1,676億円 13.2%
送付・広報・決済 1,017億円 8%

自治体が実際に使えているのは53.6%です。 残りは返礼品と事務費に回っています。 税制改正大綱では、このうちポータルサイト事業者への手数料が1,656億円で、 受入額の13%に達していることが挙げられ、 「区域外に流出する外部の事業者に支払う手数料等は、できる限り縮減していく必要がある」 と書かれています。

つまりこの改正は、返礼品を減らすためというより、 仲介にかかる費用を圧縮して自治体の取り分を増やすのが狙いです。 利用者から見ると、ポータルサイトのポイント還元やキャンペーンの原資が そこに含まれていた、という関係になります。

返礼品の判定も厳しくなります

同じ2026年10月から、告示(令和7年総務省告示第220号)の改正も適用されます。 地場産品かどうかの判定が変わります。

これまで

区域内で主要な工程を行うことにより相応の付加価値が生じている

2026年10月から

区域内で製造等を行うことにより価値の過半が生じている。 加えて、製造した者による証明と、募集開始日までの自治体による公表が必要

総務省はこの見直しの背景として 「同じ製品等について複数の団体が自らの地場産品と主張できる」 状態を課題に挙げています。過半という基準にすれば、 主張できるのは原理的に1つの自治体だけになります。

ご当地グッズの条件も加わりました。形状や名称で独自品と分かるだけでは足りず、 自治体が広報目的で自ら配布・販売した実績と計画があり、 返礼品として出す数量がその配布数量を超えないことが必要になります。 返礼品のためだけに作られたグッズは、そのままでは使えません。

指定の取り消しも運用が変わります

  • 取消期間が3年以内に(現行は一律2年)。令和8年4月1日から
  • 最大5年前の違反まで取消の対象に(現行は最大2年前)。令和8年10月1日から

総務省の資料によると、令和元年6月の指定制度が始まってから これまでに指定を取り消されたのは9団体です。 うち4団体は募集費用の割合が基準を超えたことが理由で、 違反時の割合は59.8%・56.4%・56.1%・46.4%と記載されています。 基準が引き上げられれば、この線に触れる自治体は増えることになります。

寄付する人がやることは、いまのところありません

  1. 2026年中の寄付:控除の計算はこれまでどおりです。 駆け込む理由があるとすれば、いま出ている特定の返礼品が欲しい場合だけです。
  2. 2026年10月以降:返礼品の顔ぶれが入れ替わる可能性があります。 ポイント還元やキャンペーンの条件も変わることが考えられます。
  3. 2027年の寄付:特例控除額に193万円の上限が入ります。 年収1,000万円台までなら、上限に届かないので影響しません。

ご自身の上限額はふるさと納税の上限額シミュレーターで確認できます。 12月にまとめて寄付するときの注意点は 12月に駆け込むと失敗する理由にまとめました。

この記事の出典

本記事は2026年8月29日に、上記の資料を実際に開いて内容を確認して作成しました。 なお公開当初、告示だけを読んで「経費を4割とする改正は存在しない」と書いていました。 税制改正のほうに入っていたもので、こちらの調べ不足です。訂正の経緯は 計算の方針と直した記録に残しています。

関連するツールと記事

本記事は総務省が公表した令和8年度税制改正の大綱、改正後の条文案、および令和7年総務省告示第220号にもとづく解説です。制度の細目は今後の告示・通知やQ&Aで補足される可能性があり、返礼品が実際にどうなるかは各自治体の判断によります。控除額や申告の手続きについては、お住まいの市区町村または税務署へご確認ください。

このツールが使っている税率・料率は 2026年8月時点のものです。 使用している数値と出典を見る

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給与の手取り(所得税・住民税・社会保険料)2026年8月時点

  • 健康保険(本人負担)5.0%協会けんぽ全国平均10%の半分
  • 介護保険(40〜64歳・本人負担)0.8%
  • 厚生年金(本人負担)9.15%18.3%の半分
  • 雇用保険(本人負担)0.6%一般の事業
  • 所得税の基礎控除58〜95万円令和7年分から合計所得金額に応じた段階制。132万円以下は95万円
  • 住民税の基礎控除43万円
  • 住民税(所得割)10%
  • 住民税(均等割)5,000円自治体により差があります
  • 復興特別所得税所得税額の2.1%
  • 給与所得控除令和7年分以降の速算表最低保障額65万円(収入190万円以下)
  • 所得税の税率5%〜45%の7段階(累進)

社会保険料は全国平均の料率を年収に対して概算で掛けています。実際は標準報酬月額の等級表で決まり、加入している健康保険組合や都道府県によって変わります。扶養・生命保険料控除などの所得控除は含めていません。

出典: 国税庁「所得税の税率」国税庁「給与所得控除」国税庁「基礎控除」全国健康保険協会「保険料額表」日本年金機構「厚生年金保険の保険料」

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