「67%」は額面の話。手取りはもっと減らない
育休を検討するとき、多くの人が不安になるのが収入です。 「給付金は67%」と聞くと3分の1減ると感じますが、手取りで比べると差はもっと小さいです。 理由は2つあります。
理由1:給付金は非課税
育児休業給付金には所得税も住民税もかかりません。 通常の給与からは所得税と住民税が引かれているので、その分だけ手取りの差が縮まります。
理由2:社会保険料が免除される
育休中は健康保険・厚生年金の保険料が本人・会社ともに免除されます。 給与の約15%を占める社会保険料が丸ごとなくなるインパクトは大きいです。
しかも免除期間中も「保険料を納めた」扱いになるため、 将来の年金額は減りません。健康保険証もそのまま使えます。
この2つを合わせると、たとえば月給30万円の人が最初の半年を休む場合、 額面では33%減でも手取りベースでは15%程度の減少にとどまります (手取りの約85%を維持できる計算)。1年取ると後半は給付率が50%に下がるため、 平均すると手取りの7割強になります。
上のシミュレーターでは、額面ベースと手取りベースの減少率を並べて確認できます。 減少率は給与どうしで比べており、賞与の影響は別枠で表示しています (育休中の賞与が出るかは会社の規定によるため)。
給付率は途中で変わる
- 休業開始〜180日目:休業前賃金の67%
- 181日目以降:50%
おおよそ6ヶ月を境に下がります。1年間の育休を取る場合、後半のほうが受取額が減るため、 家計の見通しは後半に合わせて立てておくと安心です。
上限額に注意
給付金には上限があり、賃金日額15,690円(月額約47万円)を超える部分は計算に反映されません。 67%の期間で月あたり約315,000円、50%の期間で約235,000円が上限です。
つまり収入が高い人ほど、実質的な減少率は大きくなります。 月給60万円の人でも受け取れる額は月給47万円の人と同じです。 上限額は毎年8月に改定されるため、最新の金額はハローワークで確認してください。
2025年からの上乗せ制度
2025年4月から出生後休業支援給付金が始まりました。 夫婦がともに一定期間の育休を取るなどの条件を満たすと、最大28日間ぶん 給付率が13%上乗せされます。67%+13%=80%となり、 非課税・社会保険料免除と合わせると手取りは実質10割相当になります。
条件があるため全員が対象ではありませんが、夫婦での取得を検討している場合は 大きな判断材料になります。上のシミュレーターでチェックを入れると効果を確認できます。
見落としやすい出費
住民税は払い続ける
これがいちばん想定外になりやすい項目です。住民税は前年の所得に対してかかるため、 育休中も納税義務があります。給与天引きができないので、 育休前の給与から一括で徴収されるか、自宅に納付書が届きます。
年収500万円なら住民税は年24万円ほど。育休直前に一括徴収されると手取りが大きく減るので、 あらかじめ会社に確認しておくことをおすすめします。
賞与が出ないことが多い
育休中の賞与は会社の規定によりますが、支給されないか大幅に減ることが一般的です。 年間の収支を見るときは、この分も差し引いて考えてください。
給付金の入金は2ヶ月ごと
育児休業給付金は原則2ヶ月分まとめて支給されます。しかも初回の入金は 育休開始から2〜3ヶ月後になることが多く、その間は無収入になります。 最低でも生活費の3ヶ月分は手元に置いてから育休に入ると安心です。
教育費の準備も並行して考える
育休中は収入が下がりますが、児童手当が始まる時期でもあります。 復帰後を見据えて、教育費の見通しを立てておくと判断がしやすくなります。 教育費・習いごとシミュレーターや こどもNISA 教育資金もあわせてご覧ください。
よくある質問
パパも育休を取れますか?
取れます。男性も同じ条件で育児休業給付金を受け取れます。 さらに「産後パパ育休(出生時育児休業)」を使えば、 子の出生後8週間以内に最大4週間、2回に分けて取得できます。
産休中はどうなりますか?
産前産後休業中は、健康保険から出産手当金(給与の約3分の2)が支給されます。 こちらも非課税で、社会保険料も免除されます。育休はその後に続きます。
育休中に働くことはできますか?
月10日以内かつ80時間以内であれば就業できます。ただし賃金を受け取ると 給付金が減額されることがあります。休業開始前賃金の80%を超えると給付金は支給されません。
復帰後の手取りはどうなりますか?
時短勤務にする場合、給与が下がるぶん手取りも減ります。 手取り計算機で復帰後の年収を入れて試算しておくと、 家計の見通しが立てやすくなります。