年収の壁で手取りはいくら減り、いくら働けば取り戻せるのか
最終更新: 2026年8月11日
「130万円を超えると損をする」とはよく言われますが、 いくら損して、いくらまで働けば取り戻せるのかまで書かれていることは あまりありません。そこで、年収100万円から200万円までを5万円刻みで全部計算しました。
先に結論
- 130万円の壁を超えた瞬間、手取りは 約19万円 減る (¥1,281,999 → ¥1,087,000)
- 元の手取りに戻るのは年収 約156万円。 つまり 130万円〜156万円の約26万円ぶんが、 働いても手取りが増えない区間
- 106万円の壁(対象の勤務先)なら、谷は 約16万円、 戻るのは 約126万円
本人負担の社会保険料を年収の15%とした概算です。 実際の料率は加入先・都道府県・年齢で変わります。
年収ごとの手取り(130万円の壁の場合)
配偶者の社会保険の扶養に入っていて、130万円で外れるケースです。 色がついている行が働き損ゾーン、つまり 「130万円の手前で止めておいたときより手取りが少ない」年収です。
| 年収 | 社会保険料 | 税金 | 手取り | 129万で止めた場合との差 |
|---|---|---|---|---|
| 100万円 | — | ¥0 | ¥1,000,000 | − ¥281,999 |
| 105万円 | — | ¥0 | ¥1,050,000 | − ¥231,999 |
| 110万円 | — | ¥0 | ¥1,100,000 | − ¥181,999 |
| 115万円 | — | ¥0 | ¥1,150,000 | − ¥131,999 |
| 120万円 | — | ¥8,000 | ¥1,192,000 | − ¥89,999 |
| 125万円 | — | ¥13,000 | ¥1,237,000 | − ¥44,999 |
| 130万円 | ¥195,000 | ¥18,000 | ¥1,087,000 | − ¥194,999 |
| 135万円 | ¥202,500 | ¥23,000 | ¥1,124,500 | − ¥157,499 |
| 140万円 | ¥210,000 | ¥28,000 | ¥1,162,000 | − ¥119,999 |
| 145万円 | ¥217,500 | ¥33,000 | ¥1,199,500 | − ¥82,499 |
| 150万円 | ¥225,000 | ¥38,000 | ¥1,237,000 | − ¥44,999 |
| 155万円 | ¥232,500 | ¥43,000 | ¥1,274,500 | − ¥7,499 |
| 160万円 | ¥240,000 | ¥48,000 | ¥1,312,000 | + ¥30,001 |
| 165万円 | ¥247,500 | ¥53,000 | ¥1,349,500 | + ¥67,501 |
| 170万円 | ¥255,000 | ¥58,000 | ¥1,387,000 | + ¥105,001 |
| 175万円 | ¥262,500 | ¥63,000 | ¥1,424,500 | + ¥142,501 |
| 180万円 | ¥270,000 | ¥69,000 | ¥1,461,000 | + ¥179,001 |
| 185万円 | ¥277,500 | ¥76,500 | ¥1,496,000 | + ¥214,001 |
| 190万円 | ¥285,000 | ¥84,000 | ¥1,531,000 | + ¥249,001 |
| 195万円 | ¥292,500 | ¥91,500 | ¥1,566,000 | + ¥284,001 |
| 200万円 | ¥300,000 | ¥99,000 | ¥1,601,000 | + ¥319,001 |
いちばん右の列が0を上回るところが、働き損ゾーンの出口です。 表では156万円のあたりで符号が変わり、 正確には年収¥1,560,000で追いつきます。
谷の底は「130万円のすぐ上」ではない
この表で見落とされがちなのが、谷がかなり長いことです。 130万円を1円超えた瞬間に約19万円落ちるところまではよく知られていますが、 そこから26万円ぶん働いてようやく元通りになります。
月給に直すと、130万円は月約¥108,000、 156万円は月約¥130,000です。 月2万円以上、収入を増やせる見通しがあるかどうかが判断の分かれ目になります。 増やせないなら壁の手前で止めるほうが手取りは多く、 増やせるなら超えて働いたほうが手取りも将来の年金も増えます。
106万円の壁のほうが、谷は浅いが早く来る
勤務先が社会保険の適用拡大の対象(従業員数などの要件を満たす)なら、 130万円ではなく106万円で加入することになります。
| 年収 | 社会保険料 | 税金 | 手取り |
|---|---|---|---|
| 100万円 | — | ¥0 | ¥1,000,000 |
| 105万円 | — | ¥0 | ¥1,050,000 |
| 110万円 | ¥165,000 | ¥0 | ¥935,000 |
| 115万円 | ¥172,500 | ¥0 | ¥977,500 |
| 120万円 | ¥180,000 | ¥8,000 | ¥1,012,000 |
| 125万円 | ¥187,500 | ¥13,000 | ¥1,049,500 |
| 130万円 | ¥195,000 | ¥18,000 | ¥1,087,000 |
| 135万円 | ¥202,500 | ¥23,000 | ¥1,124,500 |
| 140万円 | ¥210,000 | ¥28,000 | ¥1,162,000 |
谷の深さは約16万円で130万の壁より浅く、 戻るのも約126万円と早めです(幅は約20万円)。 壁が低いぶん保険料の元になる年収も低いので、落差が小さくなります。
注意したいのは、106万で加入した人は130万の壁を気にする必要がないことです。 すでに自分の勤務先の社会保険に入っているので、扶養から外れるという話が二度は来ません。 「106万も130万も両方越えるのが怖い」と考えてしまいがちですが、谷は1回だけです。
それでも壁を超えたほうがいい場合
ここまで手取りだけで見てきましたが、社会保険に加入すること自体には 手取りに表れない見返りがあります。
- 将来の年金が増える — 国民年金だけの人が厚生年金に入ると、 納めた期間と報酬に応じて受け取る額が上乗せされます。 扶養のままだと、この上乗せはありません。
- 傷病手当金 — 病気やケガで働けない期間の生活費が出ます。 扶養に入っているだけでは対象外です。
- 出産手当金 — 産休中の所得補償。こちらも加入者本人だけの給付です。
- 保険料の半分は勤務先が負担 — 引かれている額と同じだけ、 会社側も払っています。自分で国民年金・国民健康保険に入るより効率は良くなります。
逆に言えば、手取りの19万円は「消えた」のではなく、 年金と保障に変わっているとも言えます。 短期で辞める予定なら回収しにくく、長く働くつもりなら効いてきます。
いちばん避けたいパターン
130万円を超えたのに勤務先の社会保険に入れないケースです。 労働時間が短いなどで加入要件を満たさないと、扶養からは外れるのに厚生年金には入れず、 自分で国民年金保険料と国民健康保険料を払うことになります。
国民年金保険料は定額なので収入が少ないほど重く、 勤務先が半分負担してくれることもありません。ここが最も損になりやすい形です。 130万円を超えそうなときは、勤務先の社会保険に加入できるかどうかを 先に確認してください。
自分の年収で確かめる
この記事の数値は、扶養に入っているパート・アルバイトの標準的なケースを 一律の料率で計算したものです。実際の金額は勤務先や自治体で変わります。 自分の条件で確かめるには次のツールが使えます。
- 扶養の壁シミュレーター — 自分の年収でどの壁を超えているか、手取りがいくらか
- 時給・月収の換算 — 週の勤務時間から年収の見込みを出す
- 手取り計算 — 社会保険に加入したあとの手取りを、年収別に確認する
働き方そのものを考えるなら、パート・共働きの働き方と手取りも あわせてどうぞ。配偶者控除・配偶者特別控除との関係を整理しています。
本記事の金額は一律の料率による概算です。社会保険料率は加入先の健康保険組合・協会けんぽの都道府県・年齢(介護保険)で変わり、税額も扶養親族や各種控除で変わります。年収の壁に関する制度は見直しが続いているため、最新の要件は日本年金機構・国税庁・勤務先にご確認ください。