学資保険とNISA、どちらで教育費を貯めるか
最終更新: 2026年8月12日
「学資保険は返戻率111%」「NISAなら年5%」—— この2つを並べて比べている記事をよく見ます。 でも返戻率と利回りは、そもそも別の指標です。 並べても意味がありません。
返戻率には「何年」が入っていない
前提:月¥15,000を15年払い込み、 18年後に300万円を受け取る契約。
払込総額
¥2,700,000
受取額
¥3,000,000
返戻率
111.1%
年あたりの利回り
0.99%
返戻率111.1%は、年あたりに直すと0.99%です。 18年かけて11%増えるのだから、当然といえば当然です。 返戻率は「何年預けたか」を含まない指標なので、 数字が大きく見えるだけです。 他の運用と比べるなら、年あたりに直してからにしてください。
同じ払い方をNISAでした場合
| 想定利回り | 18年後 | 学資保険との差 |
|---|---|---|
| 学資保険 | ¥3,000,000 | — |
| 年1% | ¥3,002,848 | +¥2,848 |
| 年2% | ¥3,345,615 | +¥345,615 |
| 年3% | ¥3,734,109 | +¥734,109 |
| 年5% | ¥4,676,133 | +¥1,676,133 |
年0.99%を超えれば、NISAのほうが多くなります。 ただしこの比較はまだ公平ではありません。
学資保険には保障がついている
学資保険には、契約者(親)が亡くなったら以後の払込が免除され、 満期金は満額受け取れるという仕組みがあります。 NISAにはありません。積み立てた分しか残りません。
つまり学資保険は「積立」と「保険」がセットになった商品です。 比べるなら、こうする必要があります。
学資保険 vs NISA + 掛け捨ての定期保険
同じ月¥15,000のうち、¥2,000を掛け捨ての定期保険にあて、 残り¥13,000を積み立てるとどうなるか。
| 想定利回り | 積立に回る額 | 18年後 | 学資保険との差 |
|---|---|---|---|
| 年0% | ¥13,000/月 | ¥2,340,000 | −¥660,000 |
| 年1% | ¥13,000/月 | ¥2,602,468 | −¥397,532 |
| 年3% | ¥13,000/月 | ¥3,236,228 | +¥236,228 |
| 年5% | ¥13,000/月 | ¥4,052,649 | +¥1,052,649 |
保険料を引くと、差はかなり縮みます。 利回り3%でも+¥236,228。 利回り1%では−¥397,532で、学資保険のほうが多くなります。 「NISAのほうが圧倒的に有利」という結論は、 保障のぶんを無視したときにだけ成り立ちます。
では、どちらを選ぶか
増える額では決まりません。決め手になるのは次の点です。
| 見るところ | 学資保険 | NISA |
|---|---|---|
| 満期の金額 | 契約時に確定 | 変動する |
| 途中でやめたとき | 元本割れする | その時の評価額 |
| 親が亡くなったら | 払込免除で満額 | 積み立てた分だけ |
| 途中で引き出せるか | 実質できない | いつでも |
| インフレ | 金額が固定される | 連動する可能性 |
注目したいのは、「途中で引き出せない」が両方に出てくることです。 学資保険は解約すると損をするので引き出せない。 これは使い込んでしまう心配がないということでもあります。 貯めるのが苦手だという自覚があるなら、これは弱点ではなく利点です。
逆にいえば、払い続けられる金額でなければ意味がありません。 収入が減ったときに解約すると元本割れします。 月々の額は余裕をもって低めに設定し、 足りない分をNISAで積むという分け方も選べます。 どちらか一方を選ばなければいけないわけではありません。
教育費は「いつ使うか」で分ける
大学入学の費用は18年後ですが、中学・高校の費用はもっと早く来ます。 使う時期が近いお金ほど、値動きのないもので持つのが基本です。
- 数年以内に使うぶん——預金。増やすことより、必要なときにある額が確定していることを優先。
- 10年以上先に使うぶん——運用に回す余地があります。 期間が長いほど、値動きの幅は平均化されやすくなります。
- 親に万一のことがあったとき——学資保険の払込免除か、 掛け捨ての定期保険か。どちらかで備えます。 ここを空欄にしないことが、いちばん大事な部分です。
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本記事の金額は、記載した前提にもとづく試算です。学資保険の返戻率・保障内容・払込免除の条件は商品によって異なります。掛け捨て定期保険の保険料は年齢・保障額・健康状態で変わるため、ここでは仮の金額を置いています。NISAの想定利回りは将来の運用成果を保証するものではなく、元本割れの可能性があります。個別の商品選びについては、ご自身で条件をご確認のうえ判断してください。