A2Aとは
最終更新: 2026年8月12日
A2A(Agent2Agent)は、AIエージェント同士が仕事を渡し合うための共通規格です。 2025年にGoogleが公開し、2026年3月のv1.0で企業での本番運用に耐える機能が揃いました。
MCP
AI ⇄ 道具・データ
道具箱の鍵を渡す
A2A
AI ⇄ 別のAI
別の担当者に仕事を頼む
混同されがちですが、つなぐ相手が違うだけです。 競合する規格ではなく、同時に使います。 自分のエージェントはMCPで道具を持ち、A2Aで別のエージェントに仕事を頼む、という形になります。
なぜAI同士に「規格」が要るのか
自分で全部作っているなら、規格は要りません。関数を呼べば済みます。 規格が必要になるのは、相手の中身が見えないときです。
取引先が作ったエージェント。別のベンダーのサービス。来年には差し替わるかもしれない部品。 こういう相手と仕事をするには、お互いの中身を知らなくても 「これを頼む」「引き受けた」「終わった」がやりとりできる約束事が要ります。
インターネットでHTTPが果たした役割と同じです。 相手のサーバーが何で動いているか知らなくても、決まった形式で頼めば返ってくる。 A2AはそれをAIエージェントの世界でやろうとしています。
規格として決めていること
- できることの公開のしかた — そのエージェントが何を引き受けられるのかを、機械が読める形で示します。 つなぐ前に「この相手に頼めるか」を確かめられます。
- 仕事の受け渡し — 依頼を投げ、進行中の状態を返し、結果を渡すまでの流れ。 AIの仕事は数秒で終わらないことがあるので、途中経過を返せる作りになっています。
- 相手が本物かの確認 — v1.0では署名つきで身元を示す仕組みが入りました。 会社をまたぐ以上、なりすましへの備えが必要になるからです。
- 複数の利用者を分ける — 1つのエージェントを複数の組織が使う場合に、混ざらないようにする仕組み。
A2Aが効く場面
会社をまたいで仕事を渡したい
自社のエージェントが、取引先のシステムのエージェントに見積もりを依頼する。相手の中身は見えないし、作った会社も違う。
中身を知らなくても仕事を頼めるようにするのが、この規格の目的です。
違うベンダーのAIを組み合わせたい
調べる担当はA社のAI、文章を書く担当はB社のAI、社内の判断はC社のAI。それぞれ別の会社が作っている。
MCPだけでは、AIから道具は呼べてもAI同士は話せません。
相手が何をできるのか、動的に知りたい
つなぐ前に、相手のエージェントが何を引き受けられるのかを問い合わせる。
できることの一覧を機械が読める形で公開する仕組みが規格に入っています。
逆に、要らない場面のほうが多いです。 自分の中で完結する処理なら、グラフとして 組んだほうが単純です。境界のないところに規格を挟むと、 管理する対象が増えるだけになります。 A2Aが意味を持つのは、組織や会社の境界をまたぐときです。
MCP・A2A・グラフの関係
3つとも「つなぐ」話なので混ざりやすいところです。整理します。
| 何をつなぐか | 境界 | 使いどころ | |
|---|---|---|---|
| グラフ | 自分が作った処理どうし | 中身が全部見える | 処理の順番・分岐・失敗時の戻り先を決める |
| MCP | AIと道具・データ | 道具の中身は知らなくていい | AIに操作させたいものがある |
| A2A | AIと、別の誰かが作ったAI | 相手の中身は見えない | 会社・ベンダーをまたいで頼む |
内側から外側へ、だんだん相手のことがわからなくなっていく順に並んでいます。 わからない相手と仕事をするほど、決めごとが要る。それだけの話です。
いま知っておけばいいこと
個人や小さいチームで使う機会は、当面あまりありません。 それでも押さえておく価値があるのは、次の点です。
- MCPとA2Aは別物で、両立する。 「どっちを採用するか」という議論が出たら、たいてい前提が混ざっています。
- A2Aが要るのは境界をまたぐときだけ。 自社内で完結するなら、グラフで組むほうが速くて単純です。
- 身元の確認が規格に入った意味は大きい。 外部のエージェントに仕事を頼むということは、 知らない相手からの応答を信じるということでもあります。 受け取った内容をそのまま実行しない設計は、こちら側で用意する必要があります (事故らないための線引き)。
層のなかでの位置づけ
A2Aは規格ですが、扱っている問題はグラフと同じ 「処理をどうつなぐか」です。つなぐ相手が外にいる、という点だけが違います。
- AIエージェント設計の5階層マップ — 用語の位置づけを1枚で
- MCPとは — AIと道具をつなぐ規格
- グラフエンジニアリング — 自分の中でつなぐ設計
- サブエージェント — 役割を分ける設計パターン
本記事は2026年8月時点で公開されている情報にもとづく概要です。仕様や対応状況は更新が速く、記載時点から変わっている可能性があります。導入にあたっては公式の仕様書をご確認ください。特定のサービスやベンダーを推奨するものではありません。