ローカルLLMは安いのか
最終更新: 2026年8月12日
自分のPCでAIを動かす「ローカルLLM」は、 よく「使い放題で無料」と紹介されます。 使うたびの課金がないのは事実です。 ただし電気代と本体代はかかります。計算してみました。
まず電気代から
前提:動かしている間の消費電力を350W(PC全体の増加分)、 電気代を31円/kWhとした場合。
| 1日の稼働時間 | 1日 | 1か月 | 1年 |
|---|---|---|---|
| 1時間 | ¥11 | ¥326 | ¥3,960 |
| 3時間 | ¥33 | ¥976 | ¥11,881 |
| 8時間 | ¥87 | ¥2,604 | ¥31,682 |
| 24時間 | ¥260 | ¥7,812 | ¥95,046 |
電気代は、思ったほどかかりません。 1日3時間なら月¥976。 24時間つけっぱなしにしても月¥7,812です。 「ローカルLLMは電気代がすごい」という話を見かけますが、 個人の使い方の範囲では、そこは論点になりません。
重いのは本体代のほう
本体(グラフィックボード)を30万円で買い、4年使うとします。 月割りにするといくらでしょうか。
電気代(1日3時間)
¥976/月
本体代の月割り
¥6,250/月
合計
¥7,227/月
本体代は電気代の6倍以上です。 「電気代がかかる」という話に気を取られがちですが、 実際に効いているのは買った機材の代金です。 逆にいえば、手持ちのPCで動くなら費用の話はまったく変わります。 月¥976で済むからです。
APIならいくらか
前提:入力100万トークンあたり¥450、出力100万トークンあたり¥2,250とした場合。 実際の単価はモデルによって大きく違います。
| 使い方 | 入力/月 | 出力/月 | 月額 |
|---|---|---|---|
| ときどき質問する | 3M | 0.5M | ¥2,475 |
| 毎日仕事で使う | 20M | 3M | ¥15,750 |
| 自動化に組み込む | 100M | 15M | ¥78,750 |
何か月で元が取れるか
本体30万円を、APIに払わなくて済んだ額で回収できるまでの月数です。 ローカル側の電気代(月¥976)は差し引いてあります。
| いまAPIに払っている額 | 本体30万円を回収するまで |
|---|---|
| ときどき質問する 月¥2,475 | 201か月(約17年) |
| 毎日仕事で使う 月¥15,750 | 21か月 |
| 自動化に組み込む 月¥78,750 | 4か月 |
4年(48か月)以内に回収できるのは、いちばん下の行だけでした。 月¥2,475程度の使い方だと201か月(約17年)。 本体の寿命より先に、回収が終わりません。 「安くなるから」を理由にするなら、 いまAPIにいくら払っているかを先に確認したほうがいいということです。
さらに、この計算には入っていない費用があります。 モデルを選んで動かすまでの時間、うまく動かないときに調べる時間、 新しいモデルが出るたびに入れ替える手間。 お金では出てこない部分が、実際にはいちばん重いことも多いです。
それでもローカルを選ぶ理由
費用で選ぶものではない、というのが計算した結論です。 では何で選ぶのか。
| 見るところ | ローカル | API |
|---|---|---|
| データが外に出るか | 出ない | 送信される |
| 使った量による課金 | なし | あり |
| 性能 | 機材の範囲まで | 最新のものが使える |
| サービス終了・値上げ | 影響を受けない | 受ける |
| 動くまでの手間 | 自分で用意する | すぐ使える |
| オフラインで使えるか | 使える | 使えない |
いちばん強い理由は「データを外に出さない」です。 仕事で扱う資料や、人の情報を含むものを流したい場合、 これは費用と引き換えにできない要件になります。 そこが要件なら、元が取れるかは論点ではありません。
逆に「なんとなく安くなりそうだから」が動機なら、 まずAIの料金シミュレーターで いまの使用量を出してみてください。 月¥2,475に届いていなければ、答えはたぶん出ています。
どこから試すか
- まず手持ちのPCで動かす。 小さいモデルなら、いま持っている機械でも動きます。 買う前に、自分が本当に使うのかを確かめるのがいちばん安上がりです。
- メモリの量を見る。 動くかどうかを主に決めるのはメモリです。 モデルのサイズがそれを超えると、動きはしますが実用にならない速さになります。
- 用途を1つに決める。 「何でもできる」を目指すと、APIとの性能差が気になって続きません。 外に出したくないデータの処理など、 ローカルでなければ困る用途に絞ると使い続けられます。
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本記事の金額は、記載した前提にもとづく概算です。消費電力は機材と使い方によって大きく変わり、電気代の単価も契約プランや地域によって異なります。APIの料金は提供元・モデル・時期によって変わるため、実際の金額は各社の料金表でご確認ください。機材の価格と寿命も一例です。