「定格消費電力」で計算した記事は当てになりません
「こたつの電気代」を調べると、1時間15円や20円という数字がよく出てきます。 これは定格消費電力(最大値)で計算した数字で、実態とはかけ離れています。
こたつもエアコンもサーモスタットで温度を保つため、設定温度に達すると 通電が止まります。つけっぱなしでも、常に最大電力を使っているわけではありません。 こたつの定格は500〜600Wですが、実際の平均は100〜200W程度です。
このツールは実使用時の平均消費電力で計算しているため、 検針票の実感に近い金額が出ます。
電気代だけで比べてはいけない
このツールでいちばん伝えたいのはここです。電気毛布が最も安いのは事実ですが、 それは暖める範囲が体だけだからです。部屋は1度も暖まりません。
| 暖める範囲 | 器具 | 向いている使い方 |
|---|---|---|
| 体だけ | 電気毛布 | 就寝時。エアコンの設定温度を下げるための併用 |
| 足元だけ | こたつ、ホットカーペット | 座って過ごす時間が長いとき |
| 周辺だけ | 電気ストーブ、セラミックファンヒーター | 脱衣所やトイレなど、短時間だけ暖めたい場所 |
| 部屋全体 | エアコン、オイルヒーター、石油/ガスファンヒーター | 長時間過ごす居室 |
部屋全体を暖める器具どうしで比べると、エアコンが最も安くなります。 「エアコンは電気代が高い」というイメージは、こたつや電気毛布と比べたときの話であって、 同じ仕事をさせたときの比較ではありません。
スポット暖房を部屋の暖房に使うと高くつく
よくある失敗が、電気ストーブやセラミックファンヒーターで部屋を暖めようとすることです。 これらは消費電力が800〜1,200Wと大きく、しかも前方しか暖めないため、 エアコンより高くつくのに部屋は寒いままという結果になります。
短時間だけ使う脱衣所や洗面所には向いていますが、リビングの主暖房には向きません。
灯油とエアコンはどちらが安いか
石油ファンヒーターは電気をほとんど使わず、費用のほぼ全部が灯油代です。 1時間あたり0.25リットル前後を消費するため、灯油価格の影響を直接受けます。
結論から言うと、ランニングコストではエアコンのほうが安くなります。 両者が互角になる灯油価格を逆算すると1リットル約72円で、 これは現実にはまず出てこない水準だからです。
| 灯油の価格 | 石油ファンヒーター | エアコンとの差 |
|---|---|---|
| 80円/L | 1時間 約20.6円 | +2.0円 |
| 100円/L | 1時間 約25.6円 | +7.0円 |
| 120円/L | 1時間 約30.6円 | +12.0円 |
| 150円/L | 1時間 約38.1円 | +19.5円 |
(エアコンは1時間 約18.6円。電気31円/kWhの場合)
それでも石油ファンヒーターが選ばれるのは、電気代以外に理由があるためです。
- 寒冷地ではエアコンの効率が落ちる。外気温が低いほど暖房効率は下がり、 氷点下ではカタログ値どおりに動きません。霜取り運転で暖房が止まる時間も生じます。 この条件では上の比較は成り立たず、実際に逆転することがあります。
- 立ち上がりが速い。スイッチを入れてすぐ暖かい風が出ます。
- 停電時でも使える機種がある。災害時の備えとして持つ家庭もあります。
上のツールでは灯油の単価を変えられるので、実際に買っている価格で比べてみてください。
組み合わせるといちばん安くなる
現実的にいちばん効くのは、エアコンで部屋の温度を少し低めに保ち、 体に近い部分を安い器具で補う使い方です。
- エアコンの設定温度を1℃下げると、消費電力はおよそ10%下がります
- その1℃分を、電気毛布(1時間1円)やこたつ(1時間5円)で補います
- 結果として、エアコン単独で高い温度に保つより安くなります
エアコン単体の詳しい試算はエアコン電気代シミュレーターで、 冬の電気代全体を下げる方法は 冬の電気代が高い理由と下げ方にまとめています。
この試算の前提
- 6〜8畳の居室で使う一般的な機種を想定しています
- 消費電力は実使用時の平均値です。機種・断熱性能・設定温度で変わります
- エアコンは温暖地での目安です。寒冷地では試算より高くなります
- 電気の単価は31円/kWhを既定にしています。検針票の「請求額 ÷ 使用kWh」で実際の単価が分かります
電気の契約プランそのものを見直したい場合は、使用量が分かると比較しやすくなります。 暖房以外も含めた家庭全体の電気代は、検針票の使用kWhから確認してください。